特集・総選挙 投票へ行こう! 10・22 今回の選挙をどうみるか- 9条改憲を止めるチャンス 藤末会長に聞く
突然の解散・総選挙。野党の離合集散など、めまぐるしい動きが起きています。まず頭の整理を。今回の総選挙で問われていることや民医連の構えについて、全日本民医連の藤末衛会長に聞きました。
安倍首相は、「森友・加計」学園の疑惑に象徴される国政私物化が批判され、大きく支持を減らしていました。戦争法から共謀罪、勝手に期日を切った九条改憲の一方的な動きなど、暴走政治への批判も高まっています。野党は疑惑の真相を究明するために憲法五三条に基づき国会開会を求めてきましたが、三カ月も放置。有権者の疑問にいっさい応えないまま衆議院を解散しました。
さらに、離党者が相次ぐなど最大野党の民進党の揺らぎを見て、「今なら自民党の議席の〝目減り〟を抑えられるかもしれない」という思惑も働かせたのでしょう。「目隠し・延命解散」です。
■改憲を許すかどうか
安倍首相は今回の選挙で、憲法改正を国会で発議するために必要な三分の二の議席を、衆院で再び確保しようと狙っています。改憲派の議員が三分の二を占めれば「国民の負託を受けた」として一気に改憲に動くでしょう。
逆にこの選挙で改憲勢力を減らせば、九条改憲をストップできる。安倍政権として来年早々に改憲発議を狙っていますから、今度の選挙が最大のチャンスです。ですから、「九条を守る」ことを第一の課題として位置づけたい。北朝鮮の核・ミサイル問題の解決のためにも、憲法九条に基づいて対話で解決をリードする国会の実現が必要です。
もうひとつは、消費税の一〇%問題です。安倍首相は、二〇一九年一〇月の増税は予定通り、その使途を教育・子育てなどにも使うと説明しました。どさくさに紛れて、増税分はすべて従来の社会保障費に使うという法律で決めたことを反故にする発言であり、社会保障費の自然増すら削減する路線の撤回を求めます。
三つ目に、核兵器禁止条約を批准する政府をつくること。日本は唯一の被爆国であるにもかかわらず条約に反対しています。批准する政府に変えましょう。
総選挙は党派が争う選挙ですが、改憲を阻止するために、一歩踏み込んでとりくみたい。「九条改憲を止める」と明言している共産党、社民党、立憲民主党や、このことを掲げる候補者から一人でも多く国会に送り、改憲勢力が三分の二を占めるのを阻止するため、思想・信条を超えて応援したいと考えています。
■市民と野党の共闘
小池百合子氏率いる「希望の党」に民進党が合流を決めました。自民党との対決をウリにしてはいますが、同党は、九条を含む憲法改定と、立憲主義に反する安保法制(戦争法)を容認しており、肝心なところで安倍政権と変わりません。この党を選んでも憲法は守れません。「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」も共闘する相手ではないと表明しています。
市民と野党の共闘の枠組みは一見「損なわれた」ように見えましたが、共産、社民両党と立憲民主などで安保法制と九条改憲を許さないという流れができ、選挙戦に入りました。市民の側から励まし、求めていくことが、次の大きなたたかいに結びつきます。民医連もその一翼を担って、共闘を広げていきたい。
同時に、選挙期間中も「九条改憲許すな 三〇〇〇万人署名」とヒバクシャ国際署名にとりくみましょう。患者・利用者さんや地域の人たちと大いに語りましょう。全ての職場、共同組織で、憲法や平和、いのちを守ることを話し合い、アピールしていく。このことを呼びかけます。
(丸山聡子記者)
【参考】
全日本民医連は以下のような文書を出しています。参考にしてください。
職員向け
「安倍9条改憲を止め、個人の尊厳と生活を守る総選挙と共闘推進について」
藤末衛会長・岸本啓介事務局長名で(9月25日付)
共同組織の皆さん向け
「解散・総選挙――改憲をストップし、いのちとくらし、人権を守る政治の実現に向けて力をあわせよう」
全日本民医連共同組織活動交流全国連絡会から
(9月28日付)
(民医連新聞 第1654号 2017年10月16日)