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民医連新聞

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もと軍国少女は語る 97歳の被爆者・堀田シヅエさん 「お国のため」の教育絶対にダメ!!

 安倍政権の「戦争する国づくり」は教育の場にも。日本が戦争に突入した時代、軍国主義教育の基盤となった教育勅語を教材にすることを許す閣議決定も出ました。堀田シヅエさんは九七歳、自身の経験からその危険性を語ってくれました。

 「“軍国少女”と言っても今の人にはわからないかもね。『修身』という授業で、天皇陛下に忠義を尽くさなくちゃいけないとか、そんなことばかり教えられたのよ。『朕惟(チンオモ)フニ…』って、長くて難しい勅語を小学校三年生までにみんな覚えたの。そんな教育を小学校以降もずっとよ」。
 一八九一~一九四五年、日本の学校教育に「修身」という教科がありました。今でいう「道徳」ですが、教育勅語の趣旨に基づき良心や特性、人の道を教えるものでした。親孝行からはじまり、最後には「緊急事態が起きたら、勇気をもって国家や天皇のために命をささげて戦いなさい」という一二の徳目を、君主である天皇が臣下である国民に求める内容です。「修身」は科目の中でも最上位に置かれていました。
 正月や二月一一日の紀元節(神武天皇即位の日)、四月二九日の天長節(昭和天皇誕生日)、一一月三日の明治節(明治天皇誕生日)などの祝祭日には、学校で儀式がありました。天皇・皇后の写真(御(ご)真(しん)影(えい))に最敬礼し、校長が教育勅語を「奉読」。「君が代」などを合唱しました。「みんな下を向いて聞いたもんだよ。ズズッと鼻水すすりながらね。生徒・教員はみな正装で、その日だけ特別に袴が履けたの」。
 真っ直ぐな性格の堀田さんは、「お国のため」と一七~二四歳の七年間、中国山東省の陸軍病院で看護婦として従軍。「軍国主義のほかは何も知らなかった。病気になった軍人さんを私がひとりで治すんだ、と北支(中国東北地方)に行ったのよ」。そして、故郷の広島に帰り一年後に被爆しました。
 戦後は養護教員に。「毎日のように袴を履けて嬉しかった。軍国少女だったなごりだね」。日本国憲法に基づく新しい教育に携わり、それまでの価値観が一八〇度変わりました。「お国のため」から「国民、子どものため」の教育へ。
 来年度から「道徳」が教科に昇格します。厳しい表情になった堀田さん。「今度また憲法を変えて、あの『修身』が復活したりすれば、子どもたちが大変なことになる。私も何もしないではいられない。『戦争になるような気がするから不安』と言う人がいるけど、ふざけんじゃないよ! 戦争は絶対にしちゃいけない! そのために安倍さんを降ろさなくちゃ」。

(丸山いぶき記者)

(民医連新聞 第1654号 2017年10月16日)