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民医連新聞

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フォーカス 私たちの実践 排泄ケアの見直し 島根・出雲市民リハビリテーション病院 トイレ誘導やおむつ交換 定時から「患者のペース」に合わせてみると―

 「定時で行っていたトイレ誘導やおむつ交換を、個々の排泄パターンをふまえたケアに切り替え、ADLが向上した」という報告が、昨年の看護・介護活動研究交流集会でありました。島根・出雲市民リハビリテーション病院(一〇〇床)での実践を、介護福祉士の妹尾佳奈さんにききました。

■疑問が発端

 出雲市民リハビリテーション病院は回復期リハ病院という特性から、オムツを使っている入院患者は全病床の一割程度、どちらかというと少数です。入院中、おむつからの離脱など、排泄をめぐる問題の改善を目指しますが、尿意の弱い患者の排泄誘導や、おむつ交換の時刻が決まっていました。
 本人が望まない時間に排泄確認をしていることが疑問で、病棟の介護士三人で「排泄グループ」を二年前につくり、患者さん主体の排泄ケアを考え、改善を提案していくことになりました。

■「排泄表」をつくって

 グループでははじめに、排泄ケアの文献(『新しい介護学 生活づくりの排泄ケア』)に基づき、尿意、便意と皮膚感覚のアセスメント/尿意の回復/排便コントロールなどの学習会を行いました。
 次に、スタッフに次のような提案を行っていきました。まず(1)排泄間隔やトイレへの誘導のペースを把握しておむつ外しを目指す、(2)定時誘導から個別誘導に移行する、(3)何時にどのような状態だったか記録する「排泄表」を使うこと。なおこの対象は、おむつ利用者だけでなく、便意が弱く排泄誘導が必要な人も含みます。
 さらにその後、排尿を確認する時刻を見直しました。排泄表をつけている患者さんについては、定時にこだわらず、前回は何時にケアをしたかという記録に基づいて対応しました。

■おむつ利用者「ゼロ」にも

 排泄グループの活動の結果、チーム内の排泄への意識は高まりました。また、排泄表を使って個別誘導を行うことで、おむつ使用者が一時期ゼロにもなりました。おむつの患者は紙パンツ、紙パンツの患者は布パンツに移行するといった具合です。紙パンツは失禁の多い患者が使っているものですが、パンツの上げ下げは紙より布の方がスムーズに行うことができ、患者さんのADLの向上にもつながります。
 排泄ケアを見直す前は、定時確認ではあっても、スタッフ間でどの患者に対応したかの情報共有が足りず、同じ人に何度も声がかかってしまうことがありました。排泄表を使うようになってからは、表に基づいてケアできるようになったため、無駄な動きが減り、患者さんのペースで動くよう意識が向きました。
 なお当初は、排泄表のデータから、個々の患者に最適な排尿時間を分析・評価することも目指しましたが、そこまでには至っていません。排泄表のバリエーションも、現在は一種類だけなので、定着した今は、もう少し改善しようと考えています。

*  *

 「何を優先して考えるか」によって、ケアが全く違うものになることも分かりました。失禁をなくすことや、おむつのあて方も重要ですが、まず患者を把握することが大事だったと考えました。「個別ケアが当たり前」の環境になるまで、活動は続けていきます。

(民医連新聞 第1653号 2017年10月2日)