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民医連新聞

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第2期 憲法学習大運動を振り返る ―全日本民医連 岩須靖弘事務局次長に聞く―

 昨年一〇月から約一年、全国でとりくんだ第二期憲法学習大運動が区切りを迎えました。民医連初のこころみ、毎月発行した学習資材「憲法 Cafe」も九月で最終号。運動の到達や特徴的なエピソード、これからについて、憲法Cafeプロジェクトを担当した全日本民医連の岩須靖弘事務局次長に丸山いぶき記者が聞きました。

―なぜ、医療・介護団体である民医連が、憲法学習大運動を呼びかけたのですか? いま第二期ですが、第一期もあったのですね

 民医連は、社会的使命として憲法の理念を実現することを綱領で宣言している組織です。自信を持って憲法を学び・守り・活かす職員集団になろう、と二〇一五年第一期の憲法学習大運動で呼びかけました。
 日本は集団的自衛権を行使していい、という閣議決定がされ、それに基づく安保関連法=戦争法が強行されようという情勢で、全職員数に匹敵する八万数千人がとりくみ、国民的な戦争法反対運動にもつながりました。
 第二期の今回は、一六年一〇月から「第三回評議員会まで」と提起しました。戦争法反対運動をきっかけに広がった市民と野党の共闘は、同年の参院選一人区で一一勝する成果をあげましたが、同時に、憲法を変えていいという国会議員も衆・参両院の三分の二の議席を占め、改憲の発議が可能になりました。そんな中、改めて憲法を深めようという趣旨でした。
 学習がメーンだった第一期から発展し、第二期は仕事や暮らし、身近な問題として憲法を学び語り合うことをめざし、その材料となる「憲法Cafe」(本紙号外)も発行しました。

「初めて知った」が多数 オシャレな工夫など多彩に
暮らしや仕事と結びつけ

―今回はどういう規模のとりくみになりましたか?

 ほぼ毎月「憲法 Cafe」学習を職場で続けるなど、読み合わせや学習会ののべ回数では、総会方針の学習にもひけをとりません。職場単位では全体の約半数と、全職場でまだとりくめてないのは課題ですが、民医連史上初の連続学習運動として、今後に生きるとりくみでした。

―「憲法Cafe」でこだわった点、これから学ぼうという仲間のためにも、これまでの紙面も振り返ってください

 憲法の基本を、可能な限りわかりやすく学べる中身をめざしました。新入職員や、あまり憲法を学んだことのない人に最低限知ってほしいことを伝え、学習のきっかけになれば―と。日々の仕事と暮らしに結びつけ、自由に憲法を語り合えるようテーマも厳選しました。
 作成に関わったプロジェクトメンバーにとっては、各人が数十冊もの文献にあたることになった、苦しくも楽しい一年でした。メンバーには、外部から白神優理子弁護士も迎えました。専門家として、また若者としての発想と、民医連への期待から、様々な意見をもらいました。
 とりあげたテーマは、情勢との関係で当初の予定から変更したものもありました。まず九条。五月三日、安倍首相が突如、九条「加憲」を言い出したため、「自民党憲法改正草案」の批判だけでなく、加憲の危険性も知らせることにしました。
 また、「森友・加計問題」といった安倍政権の権力の私物化を受けて「三権分立」を、職員の疑問から「北朝鮮」についてとりあげ、全一一号の予定が、一二号に増えました。

―とりくみの中で特徴的な話はありますか?

 職場での学び合いや語り合いを通して、「初めて知った」という声が多かったことです。第一期で学んだ「憲法は国民ではなく、権力を縛るもの(立憲主義)」から第二期はさらにすすみ、平和主義・基本的人権・国民主権の原則を定める日本国憲法の根底に、「個人の尊重」「幸福追求権」があること、憲法と安保条約が日本の根本矛盾であること、改憲を目的に結党した自民党の長期政権下でも憲法を変えられなかったことなど、新しい発見をしたとの声が寄せられました。
 それから、暮らしや仕事と結びつけて活発に語り合われたことです。例えば、「息子が奨学金返済に追われて大変な生活をしているのに、助けてやれない」と打ち明けると、「憲法は本来そんな状態を良しとしていないのでは?」と。PTA役員をしている職員が「将来の夢に『正職員になること』をあげる子どもが多い」と紹介すると、「格差と貧困が子どもらしい夢を奪っている」という討論になるなど。
 「憲法 Cafe」は、職場だけでなく、医学生・看学生、各地の委員会でも広く活用され、オシャレなCafe空間も設定して楽しく学ぶ工夫や、「憲法川柳」のコンテストを行ったところもありました。率直な疑問を出し「憲法とかけ離れた現実があるからこそ、憲法は大切」と語り合った、と伝える各地のニュースは、私たちの励みにもなりました。


憲法川柳 ふくおか・さが民医連

〈最優秀賞〉
自己責任? 25条に 書いてない
県連事務局 キュート25

〈優秀賞〉
憲法を 守らぬ奴ほど かえたがる
親仁会本部 詠み人 家のおくさん
アベ内閣 つける薬は 総辞職
不知火メディクス
戦争を 忘れぬための 第9条
大牟田訪問ST 小田原 弘子

〈推進委員推薦賞〉
憲法の 前文やばいの 知らなくない?!
千鳥橋病院 ブルボンちえみ
先代が 守った平和 壊れかけ
さかき診療所 大庭麻里
(応募総数 228句=編集部抜粋)


学び続けること そして「使う」努力を
まだとりくめていない職場も

―この運動は学習が最終目的ではないですよね? 今後に向けて、呼びかけたいことは?

 三つあります。まず、憲法を学び続けようということです。今回できなかった職場も、乗り遅れたとあきらめず、「憲法 Cafe」で学びましょう。やれば力になることは、今回学んだ仲間たちが証明してくれました(「憲法 Cafe」は全日本民医連HPに掲載中)。
 二つ目は、憲法を「守る」のはもちろんですが、それだけではありません。「ひとりひとりを大切に」「個人の尊厳を奪う現実に立ち向かう」など、憲法を日々の暮らしや仕事に使い、活かしましょう。
 最後に、学んだことをたたかいにつなげましょう。九条が戦後最大の危機にあるいま、第一に改憲発議をさせない。そして、万が一の国民投票に備え、改憲阻止の圧倒的な世論をつくりましょう。
 日本国憲法は未完のプロジェクトです。例え小さくとも、憲法を守り活かす私たち一人ひとりの営みと多くの人々の連帯・共同がある限り、未来には「希望」があります。共に学び力を合わせ行動しましょう。

「いますぐ発信し、動こう」
―千葉・SW部会

 安倍首相の改憲表明に対し、動き出した仲間たちがいます。千葉民医連のSW部会が「県連SW九条の会」でニュースの発行を始めました。県連内の全SWが制作に参加。八月の定例会議で憲法問題の学習と討議を行いました。

*  *

 一七日、議事をこなした後、安倍首相がめざす改憲の危険性を学び、グループ討論の時間をとりました。民医連新聞に掲載された渡辺治さんのインタビューの読み合わせと、自民党の「改憲草案」と現行憲法を読み比べ意見交換しました。ねらわれている九条を中心に、全体を学ぼうという問題意識。これを経て、それぞれが変えたくないと思った条文を選び、今後のニュースに寄稿していく趣向です。
 「憲法を【最高法規】とした部分が丸ごと削除に」「二六条【教育】に『国の未来を切り拓くため』と加筆が。教育は国でなく国民のためでしょう」など、声があがります。「自民党が目指すのは、改憲草案で描く国」「戦争推進と国民の人権の抑制はつながっている」との指摘や「やっと国民が掴んだ『人権』を手放すの?」という怒りの声もあがりました。
 「いま発信すべき時」と部会の運営委員・水島万佐子さん。周囲の人が改憲の危険性に気づいていないことが気がかりだと話します。「『運動の方針待ちはせず、やれることをやろう』と呼びかけました」と法人福祉介護部長の岩谷久美子さんも。ニュースの第一号は目標どおり八月末に発行し、全事業所に届けました。


MIN-IREN 憲法Cafe

〈ラインナップ〉
1.日本国憲法
2.9条は世界の宝
3.医療・介護と25条
4.たたかってこそ輝く25条
5.安保か憲法か
6.沖縄を通して憲法をみる
7.13条 幸福追求権
8.自民党改憲案
9.改憲のターゲット9条
10.立憲主義と権力分立
11.改憲への執念
  vsアベNO!国民の声
12.平和・人権・民主主義の理想に向かって


3000万署名がスタート
「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」結成

 8月31日、安倍首相がめざす憲法九条の改憲に反対する「安倍9条改憲NO! 全国市民アクション」実行委員会が結成されました。香山リカさん、瀬戸内寂聴さん、田原総一朗さん、なかにし礼さん他19人の著名人が呼びかけました。
 「安倍9条改憲NO!」の世論を広げるため、「安倍改憲NO! 憲法を生かす全国統一署名」に3000万筆を目標にとりくみます。期間は来年5月末まで。安倍政権が来年の通常国会会期末にねらう改憲発議を絶対に許さず、9条改悪の阻止に総力をあげる大署名運動をめざします。
 安倍改憲の阻止にはより広い運動が必要、との思いから、「総がかりを超える総がかりの運動」が合言葉。8月31日現在で、呼びかけ人・賛同人・団体は約200人になりました。民医連も実行委員会の一員として運動にとりくみます。

(民医連新聞 第1652号 2017年9月18日)