第2回 トップ管理者 地域包括ケア交流集会 「無差別・平等」の実現へ“本気の連携”を
全日本民医連は九月二~三日、第二回トップ管理者地域包括ケア交流集会を東京都内で開催しました。四三県連から二四三人が参加し、「無差別・平等の地域包括ケア」のイメージを共有。国がすすめる「我が事・丸ごと」の地域包括ケアでなく、民医連がめざす無差別・平等の地域包括ケアの実現に向けて議論、交流しました。
全日本民医連の山田智副会長が開会あいさつ。地域包括ケアに関わるこれまでの民医連の交流集会を振り返り、国がめざす地域包括ケアについて説明しました。「中長期計画に地域包括ケアを位置づけ、私たちが目指す地域包括ケアを地域の人たちと共有し、とりくみをすすめましょう」と呼びかけました。
続いて、根岸京田副会長が問題提起。第一回集会を二年前に行い、各地で実践がすすんでいることを踏まえ、本集会での獲得目標を(1)地域包括ケアの情勢や現状を知り、各地域での実践を交流する、(2)「新しい二つの柱」の具体的な展開としての無差別・平等の地域包括ケアのイメージづくり、(3)中長期計画に加えるべき事業展開や後継者育成、地域連携、まちづくりを練り上げまとめる―としました。
■事業展開とまちづくり
「地域包括ケアからケアする社会へ―『幸手モデル』のとりくみ」と題して、東埼玉総合病院の中野智紀医師が記念講演を行いました。幸手モデルとは、埼玉県幸手市と杉戸町で住民とともにとりくむ独自の地域包括ケアシステム。「住民のやり方に制度を合わせるのが理想形。巻き込むのではなく、ヘルスケアが地域に巻き込まれること」と、地域の課題から事業を立ち上げていくことが大事だと話しました。
実践報告の前半は、事業展開を中心に三本ありました。「中長期計画と“地域まるごとケア”の実践」(大阪・けいはん医療生協)、「看護小規模多機能居宅介護のとりくみ」(京都保健会)、「ゆめ住宅開設から一年 民医連らしい住まいづくりをめざして」(いしかわゆめ福祉会ほやね城北)と、それぞれの地域で、住み慣れた場所でのくらしをささえる事業が報告されました。
後半は地域連携とまちづくりのテーマで三本。東京・三多摩健康友の会は「共同組織が主体となった健康づくり、まちづくり」と、認知症見守り訓練が地域ぐるみでのとりくみになった経過を報告しました。東京・大田歯科からは、病院内・在宅・介護・地域それぞれとの連携のとりくみが、埼玉・秩父生協病院は「地域包括ケアとHPH活動の実践」と題し、自治体との協同とその中での職員育成を語りました。
■連携ですすめる
グループワーク一日目は、「民医連がめざす無差別・平等の地域包括ケアについてイメージを共有する」、二日目は「問題提起の重点課題を実現するために何をするか」の二テーマで行いました。講演や各報告、全国の法人からの事前レポートも参考にしながら議論し、グループごとに具体的なイメージをまとめました。
馬渡耕史副会長が閉会あいさつをしました。社会保障を「我が事・丸ごと」と地域に押しつける国に対し、自治体も含めた本気の連携で地域と協同のとりくみをすすめることを強調。「はじめから完成されたものはありません。悩みながら始めてみましょう」と呼びかけました。
※講演、各報告の内容は、『民医連医療一月号』で掲載予定です。
(民医連新聞 第1652号 2017年9月18日)