戦後最大の危機にある日本国憲法、守る運動を 第42期 第3回評議委員会開く
全日本民医連は八月一九~二〇日、東京都内で第四二期第三回評議員会を開きました。第四三回総会までの重点の明確化、民医連事務育成についての議論と提起、次期役員選出方針の承認、二〇一七年上半期決算、会計監査承認、を議論し、方針ほかの議案を全会一致で決定しました。評議員八三人(予備含む)と理事など一六〇人が参加。一日目夜には、琉球大学准教授の二宮元さんが講演しました。(丸山聡子記者)
藤末衛会長があいさつ。今年五月三日、安倍首相が二〇二〇年に加憲を提案した背景には、改憲を警戒する国民世論の広がりと、市民と野党の共闘がある、と指摘しました。また「医療・介護の二つの柱」の実践を呼びかけました。
岸本啓介事務局長が理事会報告。「議案で提起した『潮目』はいっそう鮮明になった」と指摘。核兵器禁止条約への参加を日本政府に求める運動、沖縄・名護市長選への全国支援、社会保障解体反対のとりくみを呼びかけました。憲法問題では「憲法九条を変えない」「憲法の平和、人権、民主主義が生きる政治の実現」を求める三〇〇〇万筆目標の新署名を提起。事務職員育成の提起が積極的に受け止められ、各地で自己分析と政策づくりが始まったと紹介しました。
入江敬一事務局次長が一六年度経営実態調査概要を報告。「五年連続で経常利益は減少、事業キャッシュが十分確保できず資金的な厳しさが増すなど、中期要対策項目該当は最多の六〇法人となった。今年度第一四半期モニター法人調査では経常利益予算は未達成。立てた予算をやり切り、必要利益を確保することが今まで以上に重要」と報告しました。全日本民医連経営部として全地協で該当法人との懇談を予定しています。
全日本民医連理事会選考基準基本方針案の提案、二〇一七年度上半期決算案の提案、会計監査報告がありました。
■78の発言で議論深める
二日間で、文書一四本を含む七八の発言がありました。
■情勢…福島の北條徹評議員は、避難指示が解除された地域に戻った住民は人口の二%と報告。原発再稼働に反対する署名を継続しています。宮城・宮沼弘明評議員は、仙台港で試運転を開始した石炭火力発電所について「利益は関西と四国へ、電気は首都圏へ、公害は被災地へ」だと批判しました。
福岡・佐賀の橋口俊則評議員は、七月の九州北部豪雨で被災した東峰村の要請で医療支援をしたと報告しました。
宮城、茨城、大阪、鹿児島などから市民と野党の共闘の報告、沖縄から新基地建設反対の現状について報告がありました。
地域医療構想に関しては、長野の熊谷嘉隆評議員が、飯田下伊那地域での「県医療構想を考えるつどい」を報告。医師、保健師など一五〇人が参加し、医師会が報告書を作成するなど連携がすすんでいます。奈良の澤山浩評議員は、秋に機能分化、連携・転換について具体的決定が出ると報告。地域医療を守る立場で医療機関幹部との懇談を予定していると発言。
■憲法学習…京都からは昨秋からの憲法学習について。平和学校(神奈川)やヒバクシャ国際署名(長崎)の報告もありました。「自衛隊を憲法に書き込むのはOK、という声は多い」との発言も。藤末会長は、「野党四党は、安倍政権下での改憲は許さないと一致している」と紹介しました。
■事務育成…茨城の加賀美理帆評議員は、「実務力、政策力、組織力」を持つ事務の育成を位置づけ、事務委員会を発足させたと報告。「地域の健康・生活を守る事業所の継続に事務育成は不可欠」と語りました。「気になるカンファ」を全事業所で実施(栃木)、三〇~四〇代の事務が中長期経営計画を策定(大分)の報告も。
■平和といのち、人権守る大運動…広島・山本純司評議員は、広島市は総合事業の住民参加型サービスに問題はなく、利用者が自立できれば包括支援センターの評価は高くなるとの立場だと紹介、ケアマネは「卒業(=自立)誘導で重症化の恐れも」と指摘していると報告。岡山・高橋淳評議員は、外来患者に社会背景をつかむアンケートを実施したと報告。四人に一人が「急病時に看病する人がいない」「生活が大変」と回答しています。
子どもの医療費無料化は低所得世帯のみならず中所得世帯にも有効(和歌山)、大阪市の生活保護世帯「確認カード」廃止を(大阪)などの発言がありました。
■医師確保…奈良・横山知司評議員は県連医活委員会の再開を報告。SDHを重視し若手医師を中心にした子ども食堂も開始しました。地協の連携で研修を実現し、後期研修残存率一〇〇%(熊本)、入試宣伝で出会った学生が民医連に共感し奨学生に(滋賀)などの発言がありました
(民医連新聞 第1651号 2017年9月4日)