きかせて! どんな「職場づくり」してる? 数年前はヒヤヒヤの集団「理念」がチームの要に 香川・ヘルパーステーションみき
職場づくりのページ、今月は、香川・ヘルパーステーションみき(香川医療生協)のとりくみを紹介します。働き方も経歴もバラバラのヘルパーたちをどのように集団化し、専門職として力が発揮できるようにしているか。香川医療生協の山本秀彦介護福祉部長に聞きました。
一つにまとめるには
ヘルパーの雇用形態は多様です。正規、パート、登録など、年齢も経験年数もさまざまで、いろいろな仕事、経験を経てヘルパーになっています。そんなスタッフたちが同じ方向を向くために大切だったのは「理念」でした。
ヘルパーステーションみきの事業所目標は「一訪問 愛(相)笑顔」。訪問時に一回は、ヘルパーも利用者もお互いが笑顔になれる、声を出して笑う、良かったと思えることを誰もが自然に言葉にできることが目標。その達成のために、接遇のスローガンを二カ月に一回掲示し、意識づけをしています。
所長が先頭に立って職場をひっぱる姿勢も重要です。ポジティブ思考であきらめない、飽くなき向上心で常に介護の質向上を追い求めています。利用者やケアマネジャーからの依頼は断らずその場で返事をし、スタッフたちと相談して対応できるよう調整します。
議論はみんなで
職場診断(全日本民医連教育活動指針二〇一二年版)の結果はおおむね高く、中でも「リーダーシップ」と「チームワーク」の項目が高得点。しかし、数年前はインシデント、アクシデントの数が法人内で一番多く、法人内のケアマネジャーから「しばらく利用者は紹介できませんね」と言われてしまうほどだったのです。
「どうなることかと思った。何度も何度も事業所に足を運びました」と山本さん。所長といっしょに育成面談をくり返し行いました。また、職場会議では毎回、インシデント・アクシデントの報告書を提出することにして共有につとめています。スタッフ全員で議論すると問題解決に結びつきやすく、その結果、職場も改善、スタッフも成長しました。今では、治療が必要になるレベル3以上の報告はありません。
職場会議は月三回。研修も行っています。内容は月間計画(下表)にもとづいて決定。二〇一五年には「特定事業所加算II」を取得し、スタッフ一人ひとりに細やかな指示ができるようになり、目標がさらに具体化しています。
困難はいっしょに解決
依頼は断らないことにしています。困難事例も入ります。スタッフからは所長に電話やメールで相談が。所長は「なぜ? どうして?」と工夫して問いかけ、できるだけ速やかにじっくりコミュニケーションをとります。そうすることで報告・連絡・相談が積極的に来るようになり、登録ヘルパーからも「カンファレンスを開いて欲しい」という声が上がるようになりました。
ヘルパーは、専門的知識や細やかな配慮で利用者に接し、多職種と連携しながら在宅生活をささえる要であり、専門職です。生活援助の調理で糖尿病患者さんのHbA1cを下げた事例(本紙一七年一月二日付)のように、スタッフたちといっしょに困難を乗り越えることで「私たちもいのちを守る役割を担っている」と実感しています。
二〇〇三年に開設した当初の職員数五人から、今では三二人になりました。ヘルパーたちの口コミで知人紹介が多数あり、特にここ数年はハローワークや業者を利用しなくても増え続けています。利用者の家族からも紹介が。「他の事業所の人手が不足していますが、『みきで働きたい』と希望して来てくれるので、困ることもあるほど」と山本さんは話しました。
〈接遇の標語〉
(1)1日の始まりはあいさつから
(お互いの目を見て笑顔で明るく大きな声であなたから)
(2)事業所のイメージはあなたしだい
(3)相手の立場に立って最後まで話を聞こう
【職場データ】
(事業所)ヘルパーステーション
延べ訪問件数13,009件/年
(職員)(2016年度)
正規:3人、パート:2人、登録:28人
経験年数:1年未満6人、1~3年8人、3~5年3人、5~10年9人、10年以上7人
年齢層:30代2人、40代3人、50代8人、60代12人、70代8人
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(民医連新聞 第1650号 2017年8月21日)