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民医連新聞

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地域の「子ども食堂」が集合 知恵出し合うシンポジウム ―千葉・東葛地区

 子どもの貧困に対し、いますぐできることをしよう―と、各地で始まっているのが「子ども食堂」などの居場所づくりです。千葉県の東葛地域では、子ども食堂にとりくむグループが集まり、交流するシンポジウムが開かれました。東葛病院(東京民医連)の山縣良一通信員のリポートです。

 七月二二日、流山生涯学習センターで「食から始める居場所づくり」をテーマにシンポジウムが開かれました。一三〇人が参加、主催は千葉県東葛地域こども食堂協議会です。流山市教育委員会や野田、柏、流山の三市社会福祉協議会の後援も受け、労協事業団、東葛地域生活協同組合、東葛病院など、子ども食堂を運営している六団体が一〇回に及ぶ実行委員会を重ね準備しました。

病院からも報告

 シンポジストは流山、習志野、船橋各市のグループと東葛病院の四者です。コメンテーターは「飛んでったバナナ」の作詞で有名な、詩人・児童文学者の片岡輝さん(家政大名誉教授)。あいさつで片岡さんは「子ども食堂に集まる子どもは多様な問題を抱えています。多団体の特徴を生かした支援で子どもたちと夢を語りましょう」と呼びかけました。
 「流山子ども食堂・から風流」は男の料理教室の腕試しとして始まった食堂でしたが、現在は地域の主婦がボランティアの中心になっています。食材の調達は、地域からのカンパと生協からの援助だと報告されました。
 習志野市では、町内会会長に何度も共催を呼びかけ実現。最近、地域外から「学校給食が無い日に開いてほしい」と要望があり、出張型の子ども食堂も行っています。今後は貧困の連鎖を無くす学習支援に力を入れるそうです。船橋市の子ども食堂では、「制服バンク」にも着手しています。
 東葛病院からは二年目研修医の上村和清さんが「呼びかけると多くの職種が力を貸してくれた。さらに友の会からもカンパや食材が沢山集まった。これからは多くのボランティアを組織し、温かみのある地域をつくりたい」と発言しました。
 休憩時間には、会場後方に張り出した活動紹介パネルを多くの人が閲覧していました。

ノウハウに質問、活動多彩に

 シンポを受け、質疑応答も。「教会で実施したい」というキリスト教会の牧師さんが、運営時間など具体的なイメージを質問していました。
 コメンテーターの片岡さんは「食欲を満たすだけではなく、『同じ釜の飯』を食べることで人間関係が作られ、次のまちづくりにすすむ。食のあり方を考えるチャンスが生きる力を考える運動のベースになるのではないか?」と語り、イタリアの子育てサポートを紹介しました。
 子ども食堂運営者のリレートークもありました。「食品バンク」や「学校制服バンク」も紹介されました。貧困と孤食の関係、子ども食堂、学習支援の重要性をあらためて認識する場になりました。

「母子家庭」キーワードに

 また、キーワードとして浮上したのは「母子家庭」でした。東葛病院でも一年前に、五人の子どもを抱えたシングルマザーから「夏休みに入ると学校給食が無くなり、食べ盛りの子どもたちが家で三食、食事をします。皆さんの家庭で賞味期限切れの食品でもあれば、分けてほしい」という訴えを聞きました。
 病院の機関紙で紹介すると「今の時代でもそんなことが?」と、驚いた町会の役員さんが米を提供してくれたり、友の会員や職員、給食センターのリップルからも二〇〇kgを超える乾麺や米、食品が届きました。さらに九月には、千葉・多古町農民連からも三〇〇kg近い米が。地域の生活と健康を守る会を通じ、困っている一三軒の家庭に配達したり(上)、取りに来てもらったりしました。
 私たちも食料を届ける中で、地域の病院だが知らなかった世界があり、貧困を可視化する難しさも学んでいます。

*   *

 午後二時から始まった集会は五時に討論を無事終了しました。今後もこの交流をどう続けるか、話し合っていきます。

(民医連新聞 第1649号 2017年8月7日)