フォーカス 私たちの実践 入院中の「余暇」に注目東京・柳原リハビリテーション病院 リハビリテーション患者の離床時間の充実めざし、サポートチーム
リハビリテーション(以下、リハ)中の患者さんにはセラピストとリハ訓練を行う以外にも、訓練の一環として離床の時間をとる必要があります。東京・柳原リハビリテーション病院(一〇〇床)では、その離床時間の過ごし方に注目し、充実をはかるためのサポートチームを結成しました。第一三回看護・介護活動研究交流集会で同院の介護福祉士・兼子康弘さんが報告しました。
入院中の「余暇」に注目したきっかけは、病院が離床を重視する方針を掲げたことでした。スタッフは日々、患者さんたちに、病室から出てフロアで過ごすよう促します(疲れている人などには、三〇分~一時間など時間を決めて休養してもらいます)。患者さんたちが起きている時間は増えましたが、何をするともなく過ごす様子が兼子さんは気になりました。
「趣味を持っている人もいると思いますが、入院中にできることは多くありません。テレビを流しっぱなしにしていると、認知症がすすむという報告もあります」。
サポートチーム、 始動
同院には、スタッフの発案でテーマを定め、多職種で活動する「院内サポートチーム」という自主活動のしくみがあります。提案を管理部が確認し、サポートチームとなれば、活動時間も保障されます。それまでは美容や保清のチームが活動しました。現在は認知症サポートチームが活動中です。
「患者さんの意欲をひき出すため、何かできないか?」と、兼子さんが呼びかけ。回復期病棟のセラピストや病棟スタッフが集まり「生きがいサポートチーム」をたちあげました。
3点を目標に
チームのミーティングは月一回程度。目標には、余暇の充実とともに患者同士の交流や、ベッドから離れる意欲を引き出すことなど数点を設定しました。
院内にもチームから呼びかけ、次の三点にとりくみました。(1)平日に比べてリハの単位が少ない日曜のレクリエーションの充実、(2)フロアに娯楽スペースをつくる、(3)二階病棟でのダンベル体操と脳トレの導入。これは、OTが少なく上肢の訓練が必要だったことや、一人より集団の方が訓練に意欲的になれる人がいることを意識しました。
とりくんだ結果は下表の通りです。日曜レクとダンベル体操・脳トレは、日常のプログラムとして定着しました。
多職種でとりくむ力
サポートチーム以外の職員も、患者さんが余暇をどう過ごしているかに注意を払うように意識が変わりました。スタッフが予想しなかった反応を見せる患者さんが現れ「患者さんを先入観でみてはいけない」ということも学べました。
九〇代の男性は、娯楽スペースで行った塗り絵や貼り絵に、毎日積極的にとりくみました。音楽を流すテーブルをつくると、音楽好きが集まり、会話を交わしながら聴いたり、普段はうたた寝している人が足でリズムを取るなど、離床を促す効果がありました。
約一年の活動を通じ「患者さんの離床時間を充実させる」という当初の目的以外にも得るものがありました。
多職種のチームから呼びかけをすると、特定の病棟、職種から行う提案より、各職場が「やってみましょう」と、良い受け止めになります。多職種で話し合い、いっしょに課題をすすめるチーム活動の強みも感じる結果でした。
(民医連新聞 第1649号 2017年8月7日)