第3回評議員会議案 ポイントは? 岸本事務局長にきく 「希望ある時代」切り拓く大きな潮目です
八月に全日本民医連が開く「第三回評議員会」の議案が出ました(七月一八日付号外)。岸本啓介事務局長にポイントをききました。
年明けの第二回評議員会では、一年後の全日本民医連の定期総会(第四三回)に向け、何ができて、何をやり残しているのか整理し重点を提起しました。今はそこから半年、総会まで残り約半年です。四二回総会で掲げた「新しい二つの柱」を日常活動に定着させていくことや人づくりなどの課題を、秋に予定している全国集会で深め、方針をつくりあげていこうという時点です。
情勢の激動を受けて
第三回の方針は通常なら、もう少しコンパクトですが、この半年の情勢の激動を書き込んでいます。
第一章は情勢の特徴を大づかみにした上で、私たちの「構え」を書いています。七月の東京都議会議員選挙で、自民党が歴史的な大敗北をしたのは「安倍政治はもう嫌」という民意が示された結果です。「希望ある時代」を切り拓くための大きな潮目を迎えたことは皆で共有したい点です。
また、社会保障を解体する改悪が具体化されています。平和と人権の二つを守る運動を広範な人と総がかりですすめ、安倍政治を終わらせようと結びました。
二章は「憲法九条を守り抜こう」という緊急の呼びかけです。五月三日に安倍首相が突然、憲法九条「加憲」を提案したことを受けたものです。本紙インタビュー(七月一七日号)で渡辺治さんも指摘したように、安倍首相は憲法の平和原則を葬るためにイチかバチかの「勝負」に出ました。民医連は昨年夏から憲法学習の大運動にとりくみ、のべ一〇万人超が参加していますが、まだ学習が行えていない職場も残っています。そうした職場はこの章の討議をきっかけに「憲法 Cafe」なども使って学習にとりくんでほしい。第三回評議員会までに、各職場・事業所で九条を守る「アピール」を出そうという目標も掲げました。
事務育成の意味
三章は事務職員育成について。目指すのは事務全体の底上げです。民医連が民医連らしく活動できるかどうかがかかった課題です。事務を話題にすると叱咤激励の声がたくさん出ますが、そこで盛り上がっただけでは足りない。そもそも「民医連事務」の役割とは何かを一致させ、どう育てるか組織で検討しようということです(「ウチは事務職場でないから、この章の論議はカット」というのはナシで…)。
「事務政策作成にあたっての問題提起」(二〇一一年)から民医連事務の役割を三点に整理しました。これは論議してほしい点です。事務も専門分化し一人職場が増えています。そんな中、自分の役割が見えにくい、という仲間もこの「三つの役割」を自らの仕事と照らして振り返れるように意識しました。
四章は、いま何をすべきか分野別に具体的に書いてありますので、自分たちの到達を確認しましょう。
なお、情勢部分でふれなかった「核兵器禁止条約」の採択という歴史的な出来事は、この章に入れています。ヒバクシャ国際署名の目標を達成し条約を実現しようと再確認しました。
「新綱領」10年目に
民医連綱領を新しくしてから次の総会期で一〇年目になります。当時、議論に関わった職員の三分の一は入れ替わっていますから、どんな議論をしたか「おわりに」で振り返りました。
この節目を迎えるにあたり「日本国憲法」を綱領に明記し、理念を正面に掲げ生かすことを私たちの社会的使命に位置づけたことに大きな意味があったと実感します。
憲法学者の奥平康弘さん(故人)は、「憲法はつくりあげるもの」としばしば語り「成り行きを眺めるだけの観衆はいらない」と語ったそうです。私たちの日々の医療・介護は憲法の実現を目指す実践なのだということを、いまの政治も意識しながら、一人一人に考えてもらえたらと思います。(木下直子記者)
(民医連新聞 第1649号 2017年8月7日)