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民医連新聞

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民医連奨学生に 聞く! 社会見る眼、職種の壁の低さが魅力

 なぜ民医連の奨学生になったのか―。各地の奨学生が登場する連載の3回目。兵庫民医連の魚住広之さんに聞きました。臨床心理士として働くなかで医師をこころざし、奨学生になりました。(土屋結記者)

社会出た経験から

 ある民間の事業所で臨床心理士として働いていました。その時は、患者を生活も含めてみようという意識はありました。貧困など社会的な背景が、目の前の患者を病気にしていると感じるケースもありました。
 しかし、それを伝えても、話がかみ合わない医師も。臨床心理士は医師の指示のもと患者と関わります。働いていたクリニックでは医師との壁が厚く、意見を聞き入れてくれない医師もおり、思うような方向で治療できないことがありました。「なら医師になった方が良いなと」。これがきっかけでした。
 社会問題に目を向けるようになったのは、子どもが産まれてから。「中学生まで医療費がかからない自治体はどこか調べたり、選挙では住民のことを考えた政策を持っている政党や候補に投票していました」。

働きやすい環境

 家庭のある魚住さんが医師を目指すには、家計が一番の課題でした。家族を安心させるため、学費助成制度を調べ、そこで兵庫民医連の奨学金を見つけました。それまでの思いから「患者を、その背景も含めてみる」という民医連の考え方にも共感でき、応募しました。
 兵庫民医連の三つの病院で実習し、医師と面談も。「ここで働きたい」と思いました。どの医師も熱心に指導してくれ、他の職種も学生の自分に何でもていねいに教えてくれる。そして、職種にとらわれず、患者のためにチームとして働いている姿を見ました。「今まで働いていた環境とは大違い。家族も『それなら』と背中を押してくれました」。
 実習では「患者のためなら、何でもできる」とも聞きました。自分に技術があれば、どんどん新しいことにもチャレンジできると感じた言葉でした。

キューバに行って

 今年三月には、全日本民医連が行ったキューバ視察に参加しました。「これほど一つの国について学んだのは初めてでした」と話す魚住さん。キューバについて調べてみると、医療や教育が無償で「人を大切にする国」だと感じました。なぜキューバにはできて、日本ではできないのか? 実現している理由を学びに参加しました。
 視察の日程は「国際女性デー」でした。職場では女性が大切にされていました。また、コメディカルをめざす医系学生や視察先のクリニックなどでは女性が目立ちました。「性別だけでなく、人種や障害など、他の差別も感じなかった。日本よりすすんだ社会だと感じました」と魚住さん。
 アメリカなどから経済制裁を受ける中でも、医療・福祉を充実させ、平等の社会を守っているキューバ。日本でもあきらめることなく、よりよい医療・福祉を実現したいと感じました。

*    *

 精神科医をめざしていますが、小児も含め幅広い患者を診たいと考えています。「学生のうちに、患者を診る土台として、社会問題も学んでおきたい。医師になってからも勉強を欠かさず、臨床心理士では難しかった病気を治せるよう努力したい」。

(民医連新聞 第1645号 2017年6月19日)