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民医連新聞

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フォーカス 私たちの実践 シャボンラッピング福島・小名浜生協病院 拘縮のある患者にも有効な“泡”の足浴

 足浴は、足を清潔に保つだけでなく、血行を改善し身体を温めたり、関節痛や浮腫の軽減、リラクゼーションなど、多くの効果があります。小名浜生協病院三階病棟では、寝たきりで拘縮のある患者にもできる足浴として、泡を使う「シャボンラッピング」の効果やデメリットを検証しました。ケアワーカーの齊藤陽祐さんに聞きました。

震災の経験きっかけ

 小名浜生協病院の三階病棟は四九床の内科一般病棟で、ケアワーカーは一一人。一般的な足浴はお湯を溜めたバケツやたらいで行いますが、拘縮がある患者にはその方法では行えません。当病棟では、足の下に平オムツを敷き、石けんで足を洗った後にお湯をかけ流していました。しかし、細かい垢やにおいが残り汚れを落とし切れていないと感じていました。不潔なままでは白癬の悪化や床ずれ、細菌感染につながるため、改善が必要でした。
 シャボンラッピングを思いついたのは、東日本大震災がきっかけでした。当院の看護師が、支援者から水を使わず行える足浴方法があると、情報をもらいました。具体的な方法をインターネットで調べ、導入を検討しました。
 方法は、(1)まずバケツにかぶせたポリ袋の中にボディソープ一〇mlとお湯三〇mlを入れ、泡立てネットで袋いっぱいになるまで、ホイップクリームのようなきめ細かい泡を立てます。(2)バケツからポリ袋を取り出し患者の足を入れ、外に泡が出ないよう袋の口を結び、一〇分ほどおきます。(3)袋の上から泡を軽く揉むように足をマッサージ、(4)皮膚に袋を密着させながら泡をこそぎ落とすように足から外します。(5)残った泡などを蒸しタオルで優しく拭き取ります。

図

メリットが多かった

 患者さんに実際の効果を試してみました。片足はシャボンラッピング、もう一方は従来のかけ流す方法で毎日行い、二週間、足の水分量を計測しました()。
 実施前は足全体は粉が浮くほど乾いていて、かかとの水分量に至っては測定不能でした。二週間後、シャボンラッピングをした足にはツヤが出て、見た目もしっとりと変化しました。保湿計の数値は、私たちスタッフと大差ありませんでした。
 ケアワーカーにも、シャボンラッピングについてアンケートをとりました。全員が「今までのやり方より汚れが落ちた」と回答。一方で、「時間がかかる」という指摘も。袋いっぱいにシャボンを泡立てる作業と、さらに足を浸す時間がかかります。それでも「今後も取り入れた方が良い」と、ほとんどのケアワーカーが答えました。
 やってみると、メリットが多かったためです。汚れが落ちやすいだけでなく、ゴシゴシこすらずに洗えるので皮膚の弱い患者にも行える、患者が動いたり体勢が崩れても、お湯がこぼれずシーツが濡れない、また、使い捨ての平オムツが不要でコスト削減にもなります。ケアの間にスタッフがベッドサイドを離れることもできるため、足浴中に急なできごとがあっても対応できます。

表

導入に向けて

 いまは、泡立ての時間短縮を模索中です。端座位が維持できる患者には、小さい袋で泡を少なめにするなど、試行錯誤しています。
 患者さんの反応も「気持ちよかった」と好評です。足の拘縮のある人には、従来の方法では指の間を広げる時に痛みがあり、足浴を拒否する人がいましたが、シャボンラッピングではその必要がないため、「痛くないから良い」と受け入れています。
 「やはり課題は時間。なんとか解決して、手浴や洗髪にも応用したい」と齊藤さん。少しずつ対象者を増やし、取り入れようと工夫しています。

(民医連新聞 第1645号 2017年6月5日)