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民医連新聞

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これでばっちりニュースな言葉 「ヒバクシャ国際署名」に込める思いと世界の動き こたえる人 広島被爆者(日本被団協事務局次長) 藤森 俊希さん

 今回は「ヒバクシャ国際署名」についてとりあげます。3月に国連で開かれた「核兵器を禁止し廃絶する条約交渉会議」のニュースを目にした人も多いでしょう。条約づくりを世界中の人々の声で後押ししようという署名は、民医連でも「たくさん集めよう」と呼びかけているものです。解説してくれるのは、広島の被爆者として国連でスピーチもした藤森俊希さんです。

 「ヒバクシャ国際署名」は、ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶の署名です。趣旨は「すみやかな核兵器廃絶を願い、すべての国が、核兵器を禁止し廃絶する条約を結ぶこと」です。署名への賛同を広く募り、毎年秋に始まる国連総会に提出し、条約をつくり核兵器廃絶が実現することを目指します。

力をふりしぼって

 この署名は、被爆者の全国団体、日本被団協の結成(一九五六年八月一〇日)から六〇年にあたる昨年、一日も早く核兵器のない世界をつくるため何をしたら良いか議論を重ね生まれました。国内外に呼び掛け昨年四月に開始しました。
 署名期間は二〇二〇年秋の国連総会まで。二〇二〇年は核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議(五月)もあります。「核兵器を禁止し廃絶する条約」が実現するよう全世界で億単位の署名を目指します。

各界が署名推進

 全国団体として「ヒバクシャ国際署名」を推進する連絡会が奮闘しています。平和、市民、宗教、文化、労働、青年、学生など各界の団体、個人が集まり、定期的に会議を開き、署名のすすみ具合や国内外の活動の交流など行います。各県でも署名推進の組織がつぎつぎと誕生しています。
 「ヒバクシャ国際署名」は、昨年四月に開始したばかりですが、半年後の九月に始まった第七一回国連総会の第一委員会(軍縮・国際安全保障担当)のサブリ・ブカドム議長(アルジェリア国連大使)に早速五六万余の署名と目録を手渡しました。ここには、アメリカ、イギリス、フランス、ロシアなど核保有国を含む三〇を超す国から寄せられた署名も入っています。
 国連の部屋で署名と目録を受け取ったブカドム議長は、「被爆者の核廃絶への決意と貢献を理解している。あなたは全ての人間にとって希望の源だ」と述べました。気恥ずかしい感じもしましたが、私個人ではなく「ふたたび被爆者をつくるな」と世界に訴え続けてきたすべての被爆者と、核兵器廃絶へ力をつくしてこられたすべての方への希望と激励の言葉だと受け止め、「議長が署名を正面から受け止めてくれて感謝している」と応えました。

核兵器廃絶へ前進

 今年三月、国連で「核兵器を禁止し廃絶する条約交渉会議」が始まりました。「ヒバクシャ国際署名」を開始した一年前、私には想像もつかなかったスピードで前進しています。
 二〇一五年五月、NPT再検討会議の最終文書は、米英加三国の反対で合意できませんでした。暗雲垂れこめる国際情勢のなか、非核保有国はひるむことなくNPT再検討会議最終文書にある「多国間核軍備撤廃交渉の前進」を柱に奮闘しました。二〇一五年にオープンエンド作業部会(OEWG)、二〇一六年に「核兵器を禁止し全面廃絶に至る法的拘束力をもつ条約交渉の国連会議」を開くことを盛り込んだ決議を賛成多数で採択しました。
 そして、この三月に国連会議が開かれ、六月一五日に始まる第二会期最終日の七月七日までに、核兵器を禁止する条約が決まりそうな急展開です。

力発揮する国際署名

 三月の国連会議で発言した被爆者と懇談したアレイン・ホワイト議長は、「ヒバクシャ国際署名」に強い関心を持ち「六月会議のときヒバクシャ国際署名をたくさん持って私に会いに来て欲しい」とのべました。
 核保有国と同盟国は条約に背を向けています。紆余曲折はあっても核兵器廃絶へ前進は始まります。署名は市民の意思の証。多くの「ヒバクシャ国際署名」は核兵器のない世界へ力を発揮するに違いありません。


■ヒバクシャ国際署名WEBページ■
 インターネットでも、署名を推進するために充実したページが開設されています。ここでの情報をもとに、被爆者の皆さんの行動に参加することも可能です。
 「ヒバクシャ国際署名」で[検索]して下さい

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メールmin-shinbun@min-iren.gr.jp

(民医連新聞 第1644号 2017年5月22日)