「地域医療構想を考える 市民のつどい」ひらく 長野 健和会
三月一八日、社会医療法人健和会の主催で「地域医療構想を考える市民のつどい」を開き、一五〇人が参加しました。当地域は長野県の南部に位置し、県内でも特に高齢化率が高い地域です。地域医師会も「地域医療構想が押しつけられたら地域が壊れる」という認識を持っており、「この状況を関係職種、地域住民にアピールしよう」と医師会や介護保険事業者の協力を得ての企画になりました。
全体の問題提起を医師会の原政博医師が行い、「地域医療構想で飯伊地域は一七七床のベッド削減を押し付けられる」「医療機関が役割を分担・協力でき健康度が高く低医療費が実現している状況を破壊する行為」と報告しました。
また、健和会病院の牛山雅夫院長をはじめ、地域のケアマネージャー、特養施設長、訪問看護師、高森町健康福祉課長、介護療養病床を持つ病院長、利用者家族などが、それぞれの立場での問題意識を語りました。とりわけ、二〇一八年の介護療養病床の廃止を受け、「家庭介護力低下の中、どうやって医療度の高い方を介護し看取っていくのか」また「そこから押し出される在宅や施設でみる受け皿はあるのか」など、介護で困る人が続出し、地域が大混乱する懸念がうかがえました。参加者からは「地域の現状と今後の問題がよくわかった」「利用者の声に心を打たれた」などの感想が寄せられました。地域の医療介護従事者が「住み続けられるまちづくり」を共に考えるこうした活動を、健和会が「地域の架け橋」となって今後もすすめます。
(吉川一実、健和会デイサービスセンター所長)
【地域医療構想、計一五万の病床削減】各都道府県が地域医療構想を出した。二〇二五年の医療提供体制を示す計画で、全国で計一五万床以上の病床を減らす内容。いまあるベッドの一割以上が減る。医療費削減が目的で、患者を病院から在宅に移そうという意向。
(民医連新聞 第1642号 2017年4月17日)