こころの健康 (12)こころの健康のために 代々木病院EAPケアシステムズ・臨床心理士 三浦文華
2016年4月4日付(1617号)から、ストレスとの付き合い方についてお話ししてきました。今回で最終回です。
前半は、ストレスについて「きっかけとなる出来事(ストレッサー)」「出来事の受け止め方(認知的評価)」「対処の仕方(コーピング)」「心身の変化(ストレス反応)」に分け、自分の状態を観察する「セルフモニタリング」や「怒り」「リラクセーション」「睡眠」について、各ポイントを紹介しました。後半では同僚や部下などまわりの人のストレスに気づき、サポートするコツを紹介しました。
気になったり興味を持ったトピックスはあったでしょうか? ストレスとの付き合い方も、周囲へのサポートも、習い事と似ているところがあります。説明文を読むだけでなく、上手な人にやり方を教わったり、コツを真似たりすること、実際とりくんでみること、繰り返すことを積み重ね、身についていくものです。ぜひ、日々の生活の中で取り入れてみてください。
また、ひとりひとりがストレスと上手く付き合う工夫を増やしていくことの他に、職場の仲間同士や家族・友人の間で共有することも有効です。たとえば、このコラムを読んでみなさんが感じたことや普段の実践を話すことで、色々な知恵が共有できます。職場で共有すると、その職場特有のストレスに関する知恵が集まり、お互いのサポートにもつながっていくでしょう。
これまで紹介してきたポイントは、主に個々のスキルアップのためのものでした。しかし、「こころの健康」は自己の努力だけで守られるものではなく、職場でとりくむ必要があるテーマでもあります。みなさんの職場はいかがでしょうか? 職員のスキルアップを促すためのとりくみや研修などの機会の設定、ストレッサーを減らすための職場環境改善など、職場単位でのこころの健康づくりにもとりくんでいきましょう。
このコラムを、みなさんの普段の工夫を振り返る機会や、ストレスとの付き合い方をより良くするヒントにしてもらえたら、と思います。いきいきと働くために、自分でできそうなこと、周囲の人とできそうなこと、職場としてできそうなこと、様々な工夫を続けてみましょう。
(連載おわり)
(民医連新聞 第1639号 2017年3月6日)
- 記事関連ワード