• メールロゴ
  • Xロゴ
  • フェイスブックロゴ
  • 動画ロゴ
  • TikTokロゴ

民医連新聞

民医連新聞

第42期 第2回評議員会ひらく 運動、事業、人づくり「医療・介護の2つの柱」実践で前身の好循環を

 全日本民医連は二月一八~一九日、東京で第二回評議員会を開きました。評議員八四人(予備評議員含む)と全日本理事など約一六〇人が参加。四二回総会から一年の折り返し、とりくみを振り返り教訓を深め、情勢認識を共有し、次期総会までの強化方向を確認。二〇一六年度決算、二〇一七年度予算、評議員会方針を全会一致で採択しました。また一日目に、労働運動総合研究所の藤田宏事務局次長が「貧困クライシスにどう立ち向かうか」のテーマで講演、貧困問題や安倍政権の「働き方改革」の問題点を深めました(最終面に概要)。(土屋結記者)

 藤末衛会長は「後藤道夫氏が指摘する『戦後第二の困窮期』に際し、民医連は、運動も事業も人づくりも発展期の入口に来た」「『医療・介護の二つの柱』実践が前進の好循環をつくる契機」と語り、活発な討議を呼びかけました。
 理事会からの方針案説明を行った岸本啓介事務局長は冒頭「とめよう! 原発再稼働 かえよう! ふくしま切り捨て政治」の新聞広告を紹介しながら「あらためて被災地に連帯し、たたかおう」と呼びかけ。また、院長が急死し医療継続の危機にさらされた福島県広野町の高野病院への医師支援も、被災地の問題として受け止め、とりくむことを求めました。
 方針案は各県で積極的に受け止められ、「地域の困難に寄り添い、いのちを救っている姿が寄せられた」と紹介。健康の社会的決定要因や「医療・介護の二つの柱」への理解を深め、民医連の医療・介護活動への確信と職員育成につなごうと提起しました。
 続いて、二〇一六年度決算案と会計監査報告、二〇一七年度予算案を提案しました。

〈66本の発言〉

 討論では六六本の発言(文書一一含む)がありました。

情勢、震災、原発問題

 情勢とたたかい、震災、原発問題では一〇本の発言が。沖縄の座波政美評議員は最近の「オール沖縄」の選挙結果を報告し、設立の基本に立ち返り、粘り強く運動を続けると決意を述べました。昨年来すすむ市民と野党の共闘についても四県連が報告しました。
 福島の北條徹評議員は避難児童へのいじめや帰還者の自殺など「二重三重の苦難」の現状を報告。「福島切り捨て政治の転換に奮闘する」と話しました。
 また高野病院支援について、山田秀樹全日本理事が報告。同院が第一原発から三〇km圏内で活動を続ける唯一の病院で、民医連の医療姿勢や理念を知って支援要請がされたと紹介し「選ばれた誇りを持って検討しよう」と呼びかけ。また、同院には月一件程度、検死の要請が入るが、原発作業員(宿舎が狭すぎて検死に入れない)か、帰宅して自殺した元町民だという実態も紹介しました。
 熊本からは震災後の現状が、宮城からは災害公営住宅の被災者調査が報告されました。

受療権・人権・生存権守る

 人権や生存権に関わる発言は八本。青森の今淳一評議員は、無料低額診療事業の広がりを報告。無低診を地元紙が取材し、地域の注目も集め、民医連外の病院からも無低事業を検討したいとの声が。
 相談窓口を常設し無低事業を地域に広げる試み(東京)や、自治体の医療費助成制度改悪への反対運動(大阪)、神奈川からは相模原市の障害者殺傷事件や福島の避難者へのいじめ、小田原の生活保護課の上着など県内で発生した問題をあげ「人権と生存権を守りたい」と表明がありました。
 ほかに特養あずみの里裁判の経過報告や、アスベスト疾患診断支援サイト立ち上げ報告と活用の呼びかけ、介護保険制度見直しの問題整理などが。全日本民医連の二〇一六年の「経済的事由による手遅れ死亡事例調査」の中間報告と「全日本の記者会見(三月三一日)にあわせ地元で記者発表を」との呼びかけもされました。

医療・介護

 医療・介護活動に関わる発言は一二本。県の地域医療構想策定に対する運動(長野、広島、京都)のほか、埼玉の山田昌樹評議員が、HPHの自己評価マニュアルに地域活動に関する独自項目を追加している実践を紹介しました。
 茨城は「在宅医療カンファレンス」、岩手は「介護をよくする会」結成を報告。広島からは、介護職員の安全管理と質向上の研修を看護部の協力で行った経験が。「医療も介護も行う民医連の強みが発揮できる」と語られました。
 石川からは、介護保険制度改定を事例から語る第三弾の『酷書』を発行し、自治体への要望にも活用している報告がありました。

医師養成・医学対

 医師・医学対の分野では、長野や宮城、大阪などから一一人が発言。昨年四月末までの大運動で八人の奨学生が生まれた山梨からは「医師を先頭にした全職員での活動の追求と、地道な高校生対策が教訓」と。九人の奨学生が誕生した青森からは、医学生向けの母ちゃん食堂から「子ども食堂」が派生、それを通じ奨学生が生まれているとの報告がありました。後藤慶太郎理事は、一八卒、一九卒の対策強化を訴えました。

経営、職員養成

 経営、職員育成の発言は一五本。全日本の入江敬一事務局次長がモニター法人の第3四半期の到達を出し「経営困難を打開できる状況とは言えない」と報告。経営改善のとりくみを、徳島、山梨、東京などが報告。山形からは、庄内地域の地域医療連携推進法人について状況報告がありました。
 北海道の須田倫子評議員は、現場で遭遇する困難事例を契機に、全日本民医連の社保冊子『あれ? おかしい。』の学習にとりくんだ経験を報告。「社会保障の考え方、貧困問題などを学び、確信につながった」と。長野や近畿地協の看護研修、岡山の事務委員会の活動などの報告がありました。

(民医連新聞 第1639号 2017年3月6日)