相談室日誌 連載421 地域・患者からの期待にこたえる相談業務を(東京)
当院は二〇〇五年四月に開院しました。患者さんは、法人内はもちろん、都内全域、特に東部エリアの紹介が多くなっています。
七〇代のAさんは、ひとり暮らしの男性です。外出先で転倒し、大腿骨を骨折。救急病院で手術したのち、リハビリテーション目的で入院されました。退院後の心配ごとはアパート入口の段差や階段、買い物や入浴などです。自宅に帰れないのではないか―、と不安を抱き、今後の生活の場をどうするかを相談しています。
八〇代のBさんもひとり暮らしの男性です。訪問介護を利用してなんとか暮らしてきましたが、転倒、骨折、手術を経て、自宅生活を断念し、施設入所となりました。
入院に際して「リハビリで良くしてもらいたい」「お金はいくらかかるのか?」「病気や怪我を負ってこの先どうなるか」という期待と不安と複雑な心境の患者さんが大半です。数カ月の入院期間で今後の大きな決断をせねばならず、相談室はその決断を支援せねばなりません。その人・家族に関わるSWは、人生に大きく影響することを痛感します。だからこそ誠実に真摯に向き合う必要があると思っています。
そしてさらに、そういった私たちも含めた各専門職者の実践が実を結び、患者さんが元気に回復して地域に戻っていくことが、地域全体の安心となっていることも感じています。「そちらの病院ならみてくれると思って連絡した」、「知人から介護の相談はSWのところに行けば何でも手続きしてくれると聞いた」、「リハビリ病院で友人が良くなったから私の母も良くしてもらいたい」など今までもよく言われてきました。私たちのさまざまな支援が求められていることを実感する言葉です。全ての希望にこたえられないこともありますが、できる限りの支援をしたいと思っています。
院所・事業所が地域でどんな役割を期待され、それらをふまえ、SWは内・外でどんな実践が求められるのか考えていきたい。そして、多くの人に当院を利用していただき、広く地域に根付いた病院であり続けるよう努めたいと思います。
(民医連新聞 第1637号 2017年2月6日)
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