こころの健康 (9)周りの人へのサポート「みる」ポイント 代々木病院EAPケアシステムズ・臨床心理士 森優貴
これまで、自分自身をケアする「セルフケア」の方法を紹介してきました。しかし、自分はストレスと上手く付き合えていても、周りに困っている人がいるようで、どうしたらよいか分からないことはありませんか? 今回から3回で、周りにいる同僚や部下などのストレスに気づき、サポートするコツについてお伝えします。なお、サポートの際は自身のセルフケアができていることを確認して臨んで下さい。
周りの人を上手にサポートするポイントは、「(1)みる→(2)きく→(3)つなぐ(C)(図)」の3つあり、この流れでサポートするのが良いです。
「(1)みる」は「いつもと違う様子に気づくこと」、「(2)きく」は「相談にのること」、「(3)つなぐ」は「必要なサポートにつなぐ、サポートネットワークを作ること」です。今回は、「(1)みる」についてみていきます。
変化に気づくには、どんなポイントを「みる」とよいのか。まず大切なのは、内面を無理に推測することではなく、「外から分かる変化に気づく」ことです。心のケアというと、内面を捉えようとしがちですが、心のサインとして体調に変化が出ることが多いので、見逃さないようにしましょう。例えば、遅刻・早退・欠勤など勤怠の状況や仕事上のミスやトラブルが増えていないか、昼食を食べないなどの食欲やいつも眠そうなどの睡眠はどうか、服装や髪形に気をつかわなくなったなどの身だしなみの変化、つきあいが悪くなるなどの人とのコミュニケーションの変化がみるポイントです。
こうした普段の様子から、ちょっとした変化に気づけると良いのです。そして、気づいたら、その状態がどれくらい続いているかを観察しましょう。1、2回で普段通りに戻れば問題ありませんが、2週間程度続くようなら対応が必要です。気になることは簡単にメモしておくのがオススメです。変化と継続期間に気づきやすくなります。ぜひ、サインに気づいてサポートしましょう。
次回は「(2)きく」ポイントについてです。
(民医連新聞 第1633号 2016年12月5日)
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