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民医連新聞

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「関連死生ませない」合言葉に 鳥取県中部地震活動リポート

 一〇月二一日に鳥取県中部で起きた震度六弱の地震を受け、鳥取民医連と鳥取医療生協は揺れの大きかった地域の医療生協組合員の安否確認や医師・看護師の避難所訪問を行いました。同月二九~三〇日、一一月五、六日の週末と休日の三日には他県連からの支援ももらい、組合員を集中訪問。ほぼすべての二七〇〇件に声をかけました。現地は「MMAT研修を受け、災害マニュアルを見直す矢先だった」といいますが…。助けが必要な人を取りこぼさぬよう工夫し、地域に出て再確認したこともありました。(木下直子記者)

 震度の大きさの割に、火災も起きず、死者やケガ人などの人的被害が少なかったのが今回の地震の特徴。発生が午後二時過ぎという時刻であったことも幸いしたとみられます。鳥取民医連と鳥取医療生協は直後に合同対策本部を設置。「震災関連死を生ませない」を合言葉に活動を展開することに。

地図

安否確認と夜の避難所支援

 最大震度を記録した倉吉市、湯梨浜町、北栄町の一市二町に民医連の病院・診療所はありませんが、倉吉市内に医療生協くらよし会館がありデイサービスを行っています。五年前まで診療所だったところです。ここを拠点に、倉吉市内でも被害が大きかった地域の組合員約一四〇〇人を抽出し、組合員さんの手も借りて地図に落とし、訪問へ。一〇〇〇世帯以上と対話しました。必要な家には片付けボランティアにも入りました。県外の支援(一九八人)も受け、集中行動の終盤は当初予定を拡大し、北栄町、湯梨浜町にも足を伸ばしました。
 並行して医療生協の支部役員さんたちは組合員への電話かけを実施。「電話をくれて嬉しい、という反応も多い」と東伯支部の運営委員・森本一巳さん。隣町の三朝町に住む森本さん自身も、避難所で四晩過ごしました。
 避難所訪問は被災者が寝に戻る時間帯を見計らい、平日夜に実施。鹿野温泉病院の看護集団が主力です。「避難所にいちばん近い民医連病院ですから、何かしたくて。参加を募るとすぐ集まりました」と同院の奥田久美子師長は話しました。

情報とりこぼさない

 訪問で得た情報は漏らさずつかもうという工夫も。訪問出発前には、対策本部長の林憲治専務が助言をしました。「『大丈夫』と答えた人にも『余震が怖くて眠れない人がいます』『家の片付けはできますか』など、質問を工夫してください。みな遠慮していますから、踏み込んで初めて問題が出る場合があります」。
 訪問後のチームを対策本部事務局がヒアリング。チームが出した訪問報告書を読み、情報を補います。訪問した職員にも、自らの活動を整理する機会になりました。

地域歩いて分かった

 参加者の中には一〇月に入職したばかり、という介護福祉士の川上辰徳さん(わかさ生協診療所)も。「こうした行動は初めて。組合員さんに会うと報道されている以上に具体的な要望が出ました。現地を歩かないと分からない、と痛感しました」と話しました。
 川上さんの言葉通り、「いまも怖くて玄関で寝ている」「母屋を取り壊すので納屋で寝ている」「障害があり行政手続きができない」「ゴミを処分場に持っていけない」など、訪問では支援の必要な人が次々。対策本部は「要フォローリスト」を作成。精神科医が心のケア訪問も行いました。
 住宅被害は一万二〇〇〇棟超、倉吉市の四割を超える世帯にのぼります。避難所も閉鎖しつつありますが、避難者は百数十人居ます(一一月六日時点)。
 鳥取県は、一部損壊の世帯にも最大三〇万円の支援金交付を決定。全国基準を超える施策ですが、被災者の声を集め、自治体に要望していく作業が必要です。

参考:「合同対策本部ニュース」(1)~(16)

(民医連新聞 第1632号 2016年11月21日)