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民医連新聞

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相談室日誌 連載416 糖尿病を発症した不登校の少年を支援して(福岡)

 高齢化率三四・六%の福岡県大牟田市にある米の山病院は、入院患者の大半が高齢者で、「八八%が六〇歳以上」という月も。そんな病院に、一四歳の中学二年生が緊急入院してきました。病名は、糖尿病ケトアシドーシス。入院時の血糖値は一〇二三、意識がもうろうとし、歩くこともままならない状態でした。
 入院前の生活状況を確認すると、中学一年の三学期から不登校になり、毎日コーラを一・五リットル以上飲み、好きな唐揚げばかり食べていた、とのことでした。この世帯を担当していた生活保護のワーカーも不登校を把握していませんでした。不規則な生活習慣、偏った栄養状態が招いた入院でした。もっと早く適切な対応ができていれば、発症には至らなかったのではないか―、と感じました。
 入院当初は、本人も保護者も糖尿病への理解が低く、「見たいテレビがあるから早く帰りたい」などと訴えることもありました。そんな中、多職種で根気よく関わり、指導して、インスリン注射を使用し、二〇日程度で退院することができました。
 入院時期が夏休みだったこともあり、入院中から就学支援にも乗りだしました。当初は登校できるか心配でしたが、現在は半日だけの登校を週数回程度、あわせて当院外来リハビリへ週三回程度通院し、生活改善を行っています。ときどき病院に来ないこともありますが、根気強くフォローを続けています。
 また、インスリン注射が欠かせないため、学校にも低血糖時の対処法などの指導が必要だと判断し、担当医・研修医・看護師・ソーシャルワーカーで学校と日程調整を行っていますが、学校側の医療意識が低く、なかなか実現していません。彼が不登校になった経緯や今回の疾患を発症した経緯、今後必要なフォローなど、この中学生に関わる様々な職種の大人たちが情報共有し、一つ一つの支援が縦割りでなく、横断的な関わりを通したものにしていかなければ、と感じています。学校に出向き、教育現場の重い腰を動かすようなアクションを続けていきたいと思います。

(民医連新聞 第1630号 2016年10月17日)

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