“一層大きな総がかり行動を” 参院選後の情勢ふまえ― 第1回評議員会ひらく
全日本民医連は八月二〇~二一日、東京で第四二期第一回評議員会を開きました。評議員八四人(予備含む)と全日本理事など約一二〇人が参加。三月の総会以降半年間の情勢認識を一致させ、各分野での課題やとりくみを確認、方針と中間決算報告を全会一致で承認しました。第四二期役員選挙管理委員七人(別項)の選出を行いました。また都留文科大学名誉教授・後藤道夫さんが「安倍政権の社会保障解体路線との対抗、総がかりの運動を」と題して講演しました。
(田口大喜記者)
あいさつで藤末衛会長は第四二回定期総会で掲げた新たな医療介護の二つの柱(1)貧困と格差、超高齢社会に立ち向かう無差別平等の医療・介護の実践、(2)安全、倫理、共同の営みを軸とした総合的な医療・介護の質の向上、を再確認。医療・介護制度改悪などのターニングポイントを迎え、民医連がどのような医療をつくっていくのか、「活発な討論を」と呼びかけました。
岸本啓介事務局長が理事会報告を行い、議案を説明しました。
冒頭、熊本災害支援に関して、全国の奮闘に感謝を述べました。情勢では、参院選から一カ月も経たずに再開された沖縄の新基地建設、原発再稼働、安倍首相の核先制不使用の否定などにふれました。そして、国会で改憲勢力が三分の二を占めるのは戦後初のことであり、「国民総がかり行動を一層大きく」と呼びかけました。
また、長野・特養あずみの里刑事裁判については、立件のずさんさを批判し、「ささえる会」への参加と無罪を求める署名を提起。
続けて、二〇一五年度経営実態調査速報(案)を内村幸一事務局次長が報告しました。医科法人では五年連続の利益減。一五年度(〇・四%)は最近一〇年で最も低い水準。原因の一つに外来患者の引き続く減少傾向をあげました。また、債務超過法人も前年より増加し、財務の改善が急がれる、と指摘しました。
52の発言で活発な討議
二日間の討論で、五二の発言(文書四本含む)がありました。
〈情勢〉―戦争法、参院選
参議院選挙についての報告が多くありました。群馬の深澤尚伊評議員は青年職員が戦争法に反対する地域のグループPeace Action from GUNMA (PAG)の中心で奮闘し、参院選で野党統一候補を出してたたかうことにも寄与したと紹介。また、九割近い職員が投票に行ったと報告。
長野の近藤友子評議員は看護職場で行った戦争法廃止を求める二〇〇〇万人統一署名について報告。師長が自分の言葉で語り活動を牽引し、多くの若手が「選挙に関わりたい」と行動しました。
原発の問題については、福島の北條徹評議員が、原発事故から五年が経っても復興しない県内の現状や事故被害者の困難を報告。今後も住民に寄り添い活動する、と表明。「福島に来て、実情を見聞きしてほしい」と訴えました。
関連して、鹿児島の樋(て)之(の)口(くち)洋一評議員からは参院選挙と同日で行われた県知事選で、現職を破り、脱原発を掲げた新人の三(み)反(た)園(ぞの)訓(さとし)知事を誕生させたと報告が。県連も三反園候補と政策協定を結び、たたかいました。「脱原発の運動の進化」と語りました。
沖縄の座波政美評議員は、参院選挙でオール沖縄の伊波洋一候補が現職大臣に圧勝したと報告。にも関わらず、開票のわずか九時間後、政府は高江でヘリパッドの工事を再開、「『もはや手加減は必要ない』という政府の本性を目の当たりにした」と。「政府が新基地移設を断念するまでたたかう」と語りました。また、全国の仲間の支援に感謝も述べました。
〈医師養成〉―大運動の経験
医学生対策の課題では、昨年から今年の春にかけて全日本民医連が提起した「奨学生を増やし育てる大運動」を中心に討議。栃木の天(あま)谷(がい)静夫評議員は地協が「奨学生ゼロの県連をなくす」と方針を立て、全国最小規模の栃木県連を援助して奨学生誕生に至ったと報告。青森の那須稔評議員は、大運動で九人の奨学生を迎えたと報告。事業所が地域でどんな役割を果たしているかや理念を語り、保護者からも信頼を得ました。
〈SDH〉―日常活動に
医療活動では馬渡耕史副会長が方針の「医療・介護活動の新たな二つの柱」と、医療活動委員会の復活について再確認。「医療活動委員会の復活は昔に戻るのでなく、原点にかえって二つの柱を実践する目的」と説明しました。
埼玉の高橋正己評議員は、県連の生活保護実態調査について報告。職員の学習にも位置づけて行い、結果は行政や社会にフィードバックし制度改善を求める、と語りました。
〈経営・人づくり〉
大阪の坂田進評議員は、累積赤字の淀川勤労者厚生協会が、全日本民医連・地協・県連の調査を受けて改善に向かっている、と報告。福岡の洗川和也評議員は、今年度から五〇〇床以上の地域医療支援病院に紹介状なしの患者に保険外負担の徴収(初診五〇〇〇円以上、再診二五〇〇円以上)が義務化されたことを受け、五二七床だった大手町病院を四九九床に減らし、民医連病院として患者負担を避けた、と報告しました。
人づくりでは、東京の西坂昌美評議員が三五歳以下の青年職員向けの総会方針学習会に県連で初めてとりくんだと紹介しました。
〈熊本地震〉
熊本の光永隆丸評議員が震災の現状について発言しました。支援者数は医師一三〇人以上を含め、一〇〇〇人以上。
九月には避難所が閉鎖予定ですが、仮設住宅の建設は計画の四割程度。その一方で、大型事業を優先させる行政に不満の声も出ている、と報告。「地震は全国どこでも起こりうる」と、備えを呼びかけました。
第42期役員選挙管理委員
岩手・遠藤 洋史
埼玉・高橋 正己
千葉・野田 尚史
愛知・西本 義弘
奈良・菊池 高波
徳島・楠藤 義朝
福岡・洗川 和也
(民医連新聞 第1627号 2016年9月5日)