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民医連新聞

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戦争反対 いのち守る現場から 医学生 ゆいさん 将来いのち守る医学生だから気づいた人から行動すれば

 医療の未来を担う学生たちも戦争反対に立ち上がりました。その名もMSAIDs(エムセイズ)。一人ひとりのいのちと生活が大切にされる社会を求め、安保法制(戦争法)に反対しています。メンバーのゆいさん(医学部四年生)に聞きました。

(土屋結記者)

 貧困と不平等の仕組みに立ち向かう医療系学生の集まり「MSAIDs(Medical Students Against Inequality and Destitution)」を今年、立ち上げました。名称は世界医師会のマーモット会長の就任あいさつの一節「貧困と不平等が健康を損ない、健康の不公平な分配につながっている」がヒントです。
 「いのちと暮らしを脅かす安全保障関連法に反対する医療・介護・福祉関係者の会」の呼びかけ人の学生が初期メンバーの中心でした。課題を安保法制にとどめなかったのは、それまでも「憲法二五条を大事にしたいね」と議論していたし、原発問題なども発信したいと思っていたから。貧困と不平等は日本の社会問題の根底で、あらゆる問題につながっています。

声をあげること

 もともと政治に強い興味があったわけではありません。両親が積極的に話題にするのを、家で聞く程度でした。
 変わったのは大学入学後、母から手渡された一冊のブックレット『日本人は民主主義を捨てたがっているのか?』(想田和弘)でした。巻末に「民主主義の後退に抗うのに、特効薬はない。気づいた人が一人ひとりできることをしていく、その輪を広げていくしかない」とありました。表現や言論の自由を守るために、「自分が自由を行使するしかない」と思いました。
 それから積極的に勉強しようと、新聞をとり始めて切り抜きしたり、気になることを家族と話したり、最初は内向きの行動でした。
 初めて外に出たのは、二〇一四年末に強行された秘密保護法に反対する渋谷デモ。その後は一人で国会前の抗議に行ったり、インターネットで見つけた勉強会などのイベントに参加するようになりました。
 高校の同級生のお母さんが民医連の医師で、「医療介護福祉の会」の呼びかけ人でした。またそのつながりで他県の医学生に誘われて医ゼミに参加しました。
 秘密保護法の成立、安保法制の強行という流れの中で、「今声をあげないと、普通の生活が壊れちゃう」と感じました。戦争になるのが怖い、というより、自由に発言できない社会になるのが息苦しくて、怖い。
 こんな風に私が変わると、周囲も変わってきました。投票に実家へ帰る私に「わざわざ投票に?」と驚いていた友人が「なんで安保法制に反対なの?」と実験器具を洗っている時に質問してきたり、部活中に「選挙に行こうと思うんだけど誰が良いの?」と相談してくるようになりました。

法律は廃止できる

 MSAIDs立ち上げは、安保法制が強行された後になりました。でも法律は成立しても廃止できますよね。国民が諦めてしまえば、権力を持った人たちの思うままです。声をあげ続けることが大切です。
 私たち医療系学生は、将来、いのちや生活を守る最前線に立つことになります。その私たちが、いのちを大切にしない戦争に反対するのは当然です。
 問題は安保法制だけではありません。生活保護基準の引き下げ、軽度者の介護保険はずし、労働者派遣法の改悪など、「弱い立場の人たちの生活はどうでもいい」という政策ばかり。
 当事者は目の前の生活で精一杯で、政治の事を考えて声をあげる余裕はあまりないと思います。私にはたまたま勉強して考える時間が与えられ、理不尽な目にあっている人がたくさんいることがよく見えてきました。知れば知るほど「もっと勉強して発信しなきゃ」と思います。気づいた私たちから、いのちや生活を守るために声をあげなくてはならないと思います。

*    *

 六月一八日、新宿駅西口で初めて宣伝をしました。来てくれた看護学生がメンバーになりました。医療系学生だからこそできる活動や言えることがあります。まだ医学生が多いですが、介護や福祉系の学生の仲間も増やしたいです。

(民医連新聞 第1624号 2016年7月18日)