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民医連新聞

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相談室日誌 連載411 介護報酬の改定で負担軽減から外された(兵庫)

 Aさんは夫と二人暮らしだった要介護2の女性です。親族の死で食欲が低下し、脱水と気管支炎でB病院へ入院。退院後は、夫婦二人の生活は困難と老健への入所相談がありました。夫は娘夫婦と同居することに。Aさんの年金収入は月四万円、夫とは世帯分離して非課税となりました。老健の入所には、収入状況で食費や部屋代が軽減される介護保険負担限度額認定証が利用できます。Aさんの負担は当初月七万円程度でした(負担限度額認定証第二段階)。
 ところが昨年の介護報酬改定で、夫婦で世帯分離をしても配偶者の所得を勘案するという補足給付の見直しがされました。Aさんの夫は課税世帯で、Aさんも減額の対象外にされてしまいました。八月一日からの施設費用負担は月約一一万円、約四万円の負担増でした。それまでも、本人の年金では費用を払いきれず、預金を取り崩していました。制度見直しで本人や家族にさらなる負担を強いることになりました。費用負担が重くなっても、夫婦二人暮らしは困難で、また娘夫婦の住環境からも両親との同居は難しく、入所は継続するしかありません。
 今回の制度見直しについて厚生労働省は、「配偶者間では民法上も他の親族以上に家計をささえ合うことが求められているから」と説明します。しかし、自宅で暮らす配偶者にも介護や医療が必要な場合、施設費用の負担は容易ではありません。今回のケースでは、娘夫婦の積極的なささえがありましたが、家族からは「明るい未来が見えない」との言葉も出ました。Aさんの預金を切り崩しながら、費用を支払っていくことへの不安が感じとれる言葉でした。
 今回の介護報酬改定に伴う負担増はまだあります。限度額証の判定額に算入していなかった遺族年金及び障害年金などの非課税年金も、判定の対象に入れることになりました。そのため、これまで以上に多くの世帯が補足給付から外されることが考えられ、Aさんの世帯のようなケースが増えることが予測されます。高い介護保険料を払い続けたが、いざ介護が必要になると費用が高額なため、受けられないという現実。何のための介護保険なのでしょうか。

(民医連新聞 第1621号 2016年6月6日)