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民医連新聞

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戦争反対 いのち守る現場から 研修医 国井綾りょうさん みんな政治と“無関係”じゃいられない 声あげるのはカッコ悪くな

 今回は青年医師に聞きました。国井綾さんは福島・医療生協わたり病院の後期研修医です。中学生の時に見たドラマがきっかけで医師を志し、奮闘中。その一方で、安保法制(戦争法)に反対し、福島県内で活動する若者グループ「DAPPE(ダッペ)」を呼びかけるなどの運動にも精力的に参加しています。(田口大喜記者)

■街頭で話していること

 DAPPEとは、安保法制の廃止と憲法にもとづく政治を求め行動する若者グループです。福島県内の一〇~三〇代の有志が集まっています。方言の「~だっぺ」をもじり「Democracy Action to Protect Peace and Equality (自由と平等をまもる民主主義行動)」の英語の頭文字を並べたものです。五人の呼びかけ人の一人になりました。主に福島市、郡山市などで行動しています。
 街頭でマイクを持ってスピーチもしました。「今の政権は憲法をないがしろにしたプロセスで安保法制を通しました。これで誰が得をするのでしょう? 日米同盟で守られているものは何でしょう?」と一市民の立場で訴えました。また世論調査では約七割の国民が安保法制に反対していること、集団的自衛権の行使で自衛隊員のいのちが危険にさらされると話しました。
 診療の合間を縫って勉強し、伝え方を考えて話したところ、共感してもらえました。
 最近は、七月の参議院選挙にもふれています。「政治に〝無関係〟な人はいない。選挙に行きましょう!」と呼びかけ、野党には共闘を求めています(編集部注‥五月六日に野党統一候補が、福島選挙区でも実現しました)。
 今回から、一八歳以上の国民に選挙権があります。秘密保護法制定時や安保法制定時にも、若者が声をあげました。明るく楽しく選挙の重要性を訴えたい。

■奨学生になり変わった

 社会を変える活動に参加するようになったのは、ズバリ民医連との出会いがあったからです。
 奨学金が必要で民医連の奨学生になり、「医学生のつどい」や地協の医学生合宿など、さまざまな場に参加しました。全国の奨学生の仲間と語り合い、それまでは政治は「政治家にしか関係ないこと」と考えていた私には、新鮮で刺激的な経験で、「社会の一員」だと自覚しました。ちょうど選挙権を手にした頃のことです。学習を重ねるにつれ、民医連綱領の「いのちの平等」、「平和を守る」視点の理解も深まりました。

■仲間を頼りながら

 憲法一三条(個人の尊重と幸福追求権)が座右の銘です。人の夢や希望を奪い、社会の発展とは相容れない戦争に反対します。「医者だから…」という以前に、これは誰もが声をあげていいことです。
 生まれは福島のいわき市です。東日本大震災当時は医学生だったので、東京にいました。実家は大事には至らなかったものの、原発事故が。ゆくゆくは福島で働きたいと思っていましたから、現実を直視できませんでした。しかし、「福島に残る」と決めた人がいることが、私が福島に戻る理由になりました。まだ復興は道半ばです。原発ゼロも求めていきます。

 * *

 「誰もがイキイキと生きられる社会を」と政治に訴えることは格好悪くなんかありません。みなさんも、医療者として自分に何ができるか? 身近にできることから探してみてください。
 とはいえ、一人でやろうとしても、うまくいかないことも多いと思います。そんな時は、大いに仲間を頼りましょう。私も、志を同じくする後輩の研修医に協力してもらうつもりです。
 バテてしまっては意味がありません。肩の力は抜いて、一緒にたたかいましょう。

(民医連新聞 第1620号 2016年5月23日)