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民医連新聞

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熊本リポート 「仲間と地域ささえるぞ」 支援は第2ステージへ

 4月20日から始まった熊本への全国支援が5月9日から第2ステージに移行しました。熊本民医連の医療・介護を守り、被災した仲間や地域の要望に応えるべく、支援の第1ステージ(10陣まで派遣)で奮闘した仲間は39県連から554人。5月6日に熊本入りした第9陣に同行しました。被災者の健康悪化は明らかで、今後も細やかな援助が必要です。1面は地域活動を中心に、4、5面で南阿蘇村での活動や事業所の報告を紹介します。(取材:土屋結、丸山聡子、木下直子)

■「片付け、手伝います」
50軒で―菊陽病

 「嫁いで五一年。こんな地震は初めて。途方に暮れていたので助かりました」。ひとり暮らしの松下ミチさんの顔に、少し明るさが戻りました。家具が倒れ物が散乱した屋内。屋根瓦も落ちています。四人の職員が、壊れた家具などを、がれき集積場に運び出しました。
 菊陽病院では菊陽・大津地域の健康友の会員を中心に片付け支援にとりくんでいます。回った家は大型連休までで約五〇軒に。
 松下さんは、余震が不安で避難所に居ます。隣村・西原村の娘さんの家も倒壊したと話しました。
 愛知の岩下沙也加さん(千秋病院・事務)は「二トントラックで四往復しましたが、家の中はまだ雑然としていて、落ち着くまで大変」。大阪の曽我部日和さん(西淀病院・看護師)は「震災で高齢者の心身が不安定になったという話も聞きます。地域を回ると『助けて』と声もかかり、訪問の大切さを痛感しました」と語りました。

■テント避難所の「保健チーム」―くわみず病院

 益城(ましき)町の総合運動公園の陸上競技場にあるテント避難所。一八四基のうち三六基がペットも入れます。ここを一軒一軒訪問していきます。
 くわみず病院では、健康状態を聞き取り、必要な人に対応する「保健チーム」として四月二二日から五月六日まで活動しました。
 記者が同行した六日は、仕事や自宅の片付けなどで不在が多かったものの、「自宅に戻ると泥棒に荒らされていた」「ペットの世話がきちんとできず虫がついた」「隣人の咳がひどく、夜寝られないほどで、心配もしている」などの声を聞きました。
 テントでの避難生活は、足を伸ばして寝られたり、プライバシーが保たれるなど車中泊や体育館と比べると良い面も。ところが、日中、非常に蒸し暑くなります。テントを提供した団体は、熱中症などを懸念し、利用を五月末までにすることも検討中といいます。
 同院の川上和美看護総師長は「声をかけても『大丈夫』と答える被災者がほとんどですが、『ぜいたくは言えない』と、がまんしているようです。問題を抱えている人は多いはず」と話しました。

■会員の安否確認に歩く―くまもと健康友の会

 避難所訪問と並行し、友の会会員訪問も行いました。くまもと健康友の会には二五七六世帯が加入しています。全国支援が始まった本震一週間後から始め、今月七日まで全エリアの訪問を完了しました。約一〇〇人の会員が住む益城町へは二巡目も。初回はがれきに塞がれ不通だった道にも入れるようになり、対話もすすみました。六日に益城町の『いつでも元気』販売所に寄ると、読者二三人中、七軒が全壊だったと分かりました。
 また、すでに県外に移住した人も。高齢世帯が被災すると生活再建がいかに難しいかの現れです。
 「全国支援があったからこそ、できた訪問です」と、くわみず病院健診センターの田邊菜穂子さん(検査技師)。「会員を訪ねると、『もっと大変な人がいる』と別の被災者宅に案内され、入院になったケースも。友の会員が日常的に地域を見守っているんだと分かった。この経験を財産にしたい」。
 「全国支援を受けての地域訪問から、今後は『自前』で、切り替えて続けていきます」と、法人の今村裕次専務は語りました。

(民医連新聞 第1620号 2016年5月23日)