地域医療構想考える「つどい」 県内38病院長呼びかけ人で〈山梨〉
厚労省は二〇一五年、「地域医療構想ガイドライン」を発表しました。「地域医療構想」とは二〇二五年に向けて、各都道府県に策定が求められている地域医療の将来像です。厚労省は「二〇二五年の必要病床数は現状よりも全国で二〇万床削減可能」とし、また、この構想と整合性のある医療費の目標設定を、各都道府県に求めています。医療・介護従事者のみならず、地域住民にも大きく関わる問題です。
そんな中、山梨県では四月九日、「地域医療を守るシンポジウムと講演のつどい」が開かれました。医療・介護職員などを中心に一八〇人が参加しました。地域医療や介護のあり方をめぐって県内の医療・介護関係者が学習し、これからの山梨の地域包括ケアやネットワークを住民により良いものとするための意見交換が目的です。山梨民医連が事務局をつとめましたが、県内にある三八の病院長たちが呼びかけ人になりました。
全国自治体病院協議会の邉見公雄会長が、「生命輝かそう山梨県の医療人~地域医療構想に向けて~(二〇二五年を見据えて)」をテーマに講演を行いました。少子・高齢化で社会保障費は増えるが、政府はさまざまな制度改悪で社会保障を削減しようとしていると説明。地域包括ケアシステムは住民にとって良いものにすべく活用しよう、と話しました。
県職員も参加し、県の地域医療構想案の説明をしました。二〇二五年までに県内の病床数を一四七三床(一七・六%)削減する計画。
これらを受けて、県内にある四つの医療圏それぞれから出た四人の医師によるシンポジウムを実施。県立病院の救命救急センターや、保健所、医療過疎地域の市立病院長、在宅の医療を専門にする開業医が各分野の現状と課題を報告。救急から看取りまで、多角的な意見交換がされましたが、県の計画ではあまりにも在宅の受け皿が少ないことが指摘されました。看取りについては、会場の関心も高く、「どこまで治療を行うべき?」、「医療・介護の連携が不可欠では?」など、活発な討論が行われました。「オール山梨」の立場で、地域医療を考える貴重な第一歩となりました。(田口大喜記者)
(民医連新聞 第1619号 2016年5月2日)