こころの健康 (2)ストレッサーとストレス反応 代々木病院EAPケアシステムズ・臨床心理士 三浦文華
前回、ストレスは(1)きっかけとなる出来事(ストレッサー)と(2)出来事の受け止め方(認知的評価)、(3)対処の仕方(コーピング)、(4)心身の変化(ストレス反応)から成り立つことをお伝えしました。今回は(1)と(4)について詳しく見ていきます。
みなさんは、どんな時にストレスを感じますか? 医療や福祉の従事者といえば、命を預かる緊張、仕事内容が多岐にわたり、業務量も多いこと、患者さんや同僚との人間関係などが挙がるでしょうか。それがストレッサー(きっかけとなる出来事)です。結婚や昇進のような喜ばしい出来事も、生活上の大きな変化ですからストレッサーになることがあります。他に、通勤時間が長い、職場環境(室温、音、広さ、におい…)など、ちょっとした生活上の要素も積み重なりがちです。何か不調がある場合はちょっとしたことも軽視せず、見直して上手に付き合いましょう。
次に、「ストレス反応」についてです。みなさん、この1週間はどんな気分で過ごしていましたか? 振り返ると、楽しい、わくわく、イライラ、悲しいなど、様々な気分を経験されていると思います。ネガティブな気分が多かった方もいるかと思います。だからといって心配しすぎなくても大丈夫です。何かの出来事をきっかけに気分が動くことは、むしろ自然な反応です。ただ、注意したいケースもあります。常にイライラしていたり、ずっと落ち込んでいたり、ネガティブな気分、悪い状態が続いている時です。なお、“続く”というのは、一般的に2週間が目安です。
ストレス反応は気分だけでなく、身体に現れることもあります。寝つきが悪くなったり、食欲が落ちたりということはイメージしやすいでしょう。反対に、「普段と同じように眠っているのに眠い」、「普段よりもたくさん食べる」、ということもストレス反応であることが少なくありません。
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自分自身のストレッサーやストレス反応に気づくことはできましたか? ストレス反応は知らず知らずのうちに高くなっていることもあるので、まずは自分自身のストレッサーやストレス反応を知るところから始めてみましょう。その上で気分や体調の気になる状態が続くようであれば、医療機関や専門機関に相談してみましょう。
次回は、「ストレッサーの受け止め方(認知的評価)」について説明します。
代々木病院EAPケアシステムズ…2012年、同院健診センター(東京)が、「こころと身体のトータルサポート(健康づくり)」をコンセプトに開設。職場と連携し働く職員のこころの健康づくりをサポートする事業を担う。
(民医連新聞 第1619号 2016年5月2日)
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