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民医連新聞

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地域の相談にのり居場所になる 午前中は高齢者 夕方は子どもたち 群馬中央医療生協・前橋協立病院

 群馬中央医療生協が購買生協の事務所を共同利用し、何でも相談室「お茶のみ保健室」を二〇一五年一〇月にオープンしました。これまでのべ四二五人が利用しています。今年二月からはここで無料塾「ひろせ川教室」を夕方開いています。近隣小学校の子どもたちの宿題や自習をサポートしています。(土屋結記者)

 場所は前橋市内にある広瀬団地の一角。地域の三割が高齢者世帯で、二人以下の世帯が七割にも。また、公営住宅には地域住民の七割が居住、小学校に通う児童の三割強が準要保護世帯と、高齢化と貧困や孤立も目立つ地域です。

■気軽に「お茶のみ保健室」

 「お茶のみ保健室」は、水曜を除く平日午前中に開いています。ベテラン看護師と各部門の職責者が曜日ごとに担当し、立ち寄る人の相談にのったり、話し相手になっています。
 開設のきっかけは二〇一五年七月に地域で行ったなんでも相談会で、「医療や介護の相談ができる場所、気軽に集まれる場所がほしい」という声があったことでした。取材した四月一四日も五人の高齢者が立ち寄りました。話を聞いてみると、「どんな困り事でも相談できる場所があって安心」、「相談ではなく遊びに来ている感覚」と。気軽に利用できているようです。
 看護師が常駐していることで、体調が悪くなった人が休憩に来たこともありました。話を聞くと、日常生活がままならず、介護サービスが必要な人だと分かりました。初めは介護認定の申請を拒否していましたが、「保健室」に通ってもらい、日々の話を聞くことで信頼が生まれ、介護保険利用に踏み切る気持ちになれました。聞き取った生活状況はケアマネジャーに伝え、今この人は介護サービスを利用しています。
 火曜日を担当する石原由紀子さん(看護師)は、「民生委員など、支援する側からの相談も入ります。ちょっとした事でも頼ってもらえるよう地域に根づいていければ」と話しました。

■無料塾「ひろせ川教室」

 「ひろせ川教室」は、毎週木曜に開講。生活保護・準要保護世帯の児童を対象に、近隣小学校の協力で「生徒」が来ています。「先生」は、地域の元教員などのボランティア六人と医師・SW・事務などの職員です。低学年は職員がマンツーマンで、高学年にはボランティアが対応。「学習共有書」もつくって、保護者と情報を共有しています。
 前橋協立病院の深澤尚伊医師(小児科)は、「子どもの貧困は困難が積み重なると影響が強くなります。貧困の連鎖の“予防”という観点で関われれば」と開設のねらいを話しました。前橋市では中学生を対象とした無料塾はあります。同市との懇談の場で「小学校で学習することからやり直すケースも少なくない。早めの対策が必要」と、情報提供されたことがヒントになりました。
 学習支援だけでなく、治療につながるケースも。教師に発達障害ではないかと助言された児童の母親が、教室を頼って相談に来たり、学校で支援学級に編入をすすめられたという児童の相談などが入りました。
 教室の事務局を担う中川美和さん(事務)は、「通ってくる子の多くがひとり親家庭です。親は夜遅くまで働き、学校から帰っても家には誰もいません。金銭面の問題から学童保育に入れられない家庭も。ここが放課後の居場所の一つになっています」と話しました。

* *

 このとりくみはまだ始まったばかりで、職員にも浸透しつつある段階。法人専務の新井浩之さんは、「共同組織と一緒に、民医連運動としてどのように発展させるかがカギです。地域の社会資源との連携も重視し、まちづくりの拠点として役割を担う場所にしたい」と話しています。

(民医連新聞 第1619号 2016年5月2日)