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民医連新聞

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沖縄発 戦争する国にさせない ―たたかいの最前線から

 戦争法の成立後、安倍政権は沖縄・名護市辺野古沖への新基地建設の準備を強行しています。そこには地方自治も住民の声もありません。普天間基地のある宜野湾市では、市長選挙(一月二四日投開票)が。「新基地建設を断念させ、戦争法を廃止に追い込むこと、そして平和憲法を守っていくことが必要」と語る沖縄民医連の名嘉共道事務局長のリポートです。

辺野古で起きていること

 沖縄では普天間基地の代替施設として、名護市辺野古への新たな軍事基地の建設に向けた準備を、政府が強硬におしすすめています。キャンプシュワブのゲート前では、連日非暴力の座り込みを続けていますが、関東から集められた機動隊により強制排除が行われ、負傷者も出る事態となっています。
 その中で一二月五日早朝に座り込みの仲間が逮捕される事件も起きました。機動隊とのもみ合いの中で、機動隊の無線機のコードを切った公務執行妨害とされたのです。後日、釈放はされましたが、現時点で最終的な処分は決まっていません。政府は警察に何を守らせているのでしょうか?
 二〇一四年の三つの選挙(名護市長選、沖縄県知事選、衆院選=すべて新基地建設反対派が勝利)で示した民意を無視した日本政府の態度と、日本の警察が米軍基地を警備し、非暴力の抗議を続ける国民を排除の対象としている現実について、多くの国民に目を向け、考えてほしいと思います。

「オール沖縄」の視点

 翁長県知事は、沖縄県民との「辺野古への新基地建設はあらゆる手段で阻止する」の公約通り、沖縄県民の民意の先頭に立ち、政府と対峙しています。埋め立て承認の取り消し後、埋め立て承認の代執行をねらう政府と辺野古新基地建設阻止をめざす沖縄県の間で四つの訴訟が同時進行することとなりました。翁長知事と県民に対し、政府は訴訟で「公人」と「私人」を狡猾に使い分け、アメとムチによって時には恫喝ともとれる発言を繰り返しています。日本政府の姿勢は沖縄県民の「尊厳」を踏みにじるものです。
 訴訟の口頭弁論で翁長知事は、県民の心情を「魂の飢餓感」と表現しました。太平洋戦争で多くの犠牲を強いられた沖縄は、戦後は米軍の統治下に置かれ、日本国憲法のない時代を過ごしました。人権や尊厳がないがしろにされ、命さえ軽んじられた時代に、多くの県民が米軍の圧政に声を上げ、団結し、民意で日本国憲法の下に復帰を果たしたはずでした。ところが、大変な苦労を伴い先輩たちが築いた今の沖縄で、今度は日本政府が民意を一顧だにせず、理不尽な理屈と強権で辺野古への新基地建設をおしすすめているのです。
 私たち沖縄県民も、民意が尊重され、人権や尊厳が守られるべき日本国民です。そこに「オール沖縄」が求めているものがあります。これは、人間として当然の要求です。
 またこの「オール沖縄」の視点とたたかいは、沖縄の未来だけでなく、日本の未来がかかったものに発展してきたと感じています。

新基地建設が行き着くもの

 日本政府は中国の軍事力増強・海洋進出、尖閣諸島周辺での挑発行為などをあげ、その抑止力に新基地建設が必要だと主張していますが、とんでもない話です。
 中国にはもともと岩国・佐世保・沖縄本島の米軍・自衛隊の基地が向かいあうようにありました。それでも中国は東シナ海沿岸の軍事力を増強してきているのですから、新基地建設は抑止力になるどころか、中国の軍事力増強の呼び水となり、軍拡競争に発展することは目に見えています。政府が昨夏、宮古島・石垣島に自衛隊配備・増強準備を始めたことと「戦争法」の強行を合わせて考えると、すでに軍拡競争に突入した、と言っても大げさでないかもしれません。
 中国の南沙諸島の一方的な軍事利用は非難されるべき問題ですが、その対応策が新基地建設では、軍備拡張の最前線に沖縄がおかれることになります。県民は軍事衝突の危険と隣り合わせの緊張した日常を強いられることになり、戦争の影が日本中を覆います。

全国の仲間に呼びかけたい

 民医連綱領にある「一切の戦争政策に反対」という点が平和を守る上で非常に重要です。時々の情勢から様々な口実で、戦争政策が一つ一つ積み上げられ、戦争のできる国はつくられていきます。辺野古への新基地建設も戦争法も一つとして許していてはいけません。平和を守るたたかいは、私たちの、そして子や孫の未来につながるたたかいです。全国の民医連のネットワークが、いっそう力を発揮する時だと思います。

(民医連新聞 第1612号 2016年1月18日)