“介護現場への攻撃だ” あずみの里の裁判を全国でささえよう
会議一日目に、長野県民医連に加盟する特養あずみの里の裁判に関する特別セッションがありました。弁護団が事件の概要を報告、全日本民医連の岸本啓介事務局長が全国あげて無罪を求めるたたかいをすると表明。「他人事でない」―。あちこちで涙を拭きつつ聞く参加者の姿がありました。
《概要》
二〇一三年一二月、あずみの里の入所者がおやつを食べて意識不明になり、約一カ月後に亡くなる事故がありました。一年後、検察は同じフロアにいた准看護師を「注意義務を怠った」として業務上過失致死罪で起訴しました。
訴えられた職員は事故当時、二〇人ほどの利用者が集まった食堂に手伝いに入り、全介助の必要な利用者を食事介助中でした。おやつの時間は二人の介護職員があたることになっていましたが、一人は排泄介助で、所定の時刻に食堂に来られませんでした。
介護施設の誤嚥事故が刑事事件になり、職員が訴追されるのは異例です。この場では再現VTRを流し概要が説明されました。現在、二四人を超える弁護団が結成され無罪を求めています。
《異例づくめの警察の動き》
医療事故に詳しい小口克巳弁護士が「本件で警察がみせた動きは通常の医療事故では異例」と解説。利用者が亡くなる前から押しかけ、職員名簿をはじめ大量の資料を押収したこと、遺族と示談が成立した(刑事事件にしない強い要素)にもかかわらず起訴したことなど、民医連を標的にした攻撃だとのべました。
さらに小口弁護士は、あずみの里が厚労省の基準を十分満たしている施設であることをあげ、介護労働者が劣悪な労働条件で過剰な責任を負わされているのは全国共通で、これは厚生労働行政が作った状況だと指摘。「多数の利用者のうちの一人からわずかな時間、目を離したことが罪に問われている。これは介護全体に向けられた攻撃です」と強調しました。
《有罪にしてはいけない》
「無罪を勝ち取るために大事なことは、この事件が刑事処分されれば、現場にどんな深刻な混乱をもたらすか、裁判官につきつけること」と小口弁護士。「法廷の外」のたたかいが重要で、全国からの注目、介護関係団体や介護従事者の結束、利用者の理解と共感をえることなどが提起されました。
すでに開業医や介護施設長などで支援する「会」がつくられ、年明けには署名も始まります。
山田智副会長が最後に発言し「事故は常に起こり得るものとして私たちは介護している。今回の事故でも迅速に対応した。これで責められたら、もう介護はやれない。私たちの団結で裁判官を動かしましょう」と呼びかけました。
(民医連新聞 第1609号 2015年12月7日)
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