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民医連新聞

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相談室日誌 連載402 「特養入所ができない…」 制度のはざまにAさんは(茨城)

 Aさんは視力と聴力に障害を持つ七〇代の女性で、娘さんの援助を受けながらひとり暮らしをしていました。しかし、娘さんが入院し、娘婿が仕事をしながら義母の介護と妻の看護をこなさなければならなくなりました。Aさんに必要な援助は食事準備ですが、それができない娘婿が当センターに相談を寄せてきました。
 まず、障害の状況から、住み替えの回数は少ないほうが良く、特養への入所が適切だと思われました。しかし今年度、特養への入所は「原則、要介護3以上」と改悪されました。Aさんは要介護2でしたので、入所の申し込みをしても判定会議にはかからない状態でした。
 また施設からは「視覚聴覚障害の人と意思疎通できるスキルが足りない」と言われもしました。娘さんとは筆談で意思疎通していたようですが、Aさんはその頃よりレベルが落ちていました。私達も筆談で本人に説明する機会がありましたが、通じたのは半分程度で、本人の意向確認も困難でした。
 さらに、娘婿が自由に動けるのは土日で、支援センターが休みのため、電話で情報提供し、土日に動いてもらう形になりました。しかし、行った先で別の提案をされることがあったり、市役所とのやりとりも電話になり、あちこちにたらい回しされることもあったようです。仕事を持つ家族が休日にじっくり相談できる機能がないことに気づきました。ここは私たちももっと手を伸ばした支援ができたのではないかと反省した点です。
 支援センターとしては、特養の特例入所の対象にならないか? 盲老人ホームに入所できないか? 在宅でのサービス、生活保護、補聴器を作ることなども模索しました。支援制度の「はざま」のような事例で、どの方法でも大きな壁にぶつかりました。提案しては壁にぶつかる繰り返しで、家族もとまどわせてしまいました。
 現在は、住み替えが必要にはなりますが、老人保健施設に入所する方向ですすめています。制度のはざまの人には、横出し・上乗せサービスで支援できないものかと感じています。

(民医連新聞 第1609号 2015年12月7日)