朝日訴訟につづいた「生存権」を問うたたかい 【堀木訴訟提訴45周年記念集会ひらく】
一一月一日、神戸市で堀木訴訟提訴四五周年記念集会が開かれ(主催‥同集会実行委員会)、全国から二〇〇人超が参加しました。 堀木訴訟とは、障害者福祉年金(当時)を受給していた全盲の堀木文子さんが、離婚した後、子どもを養育していく際、知事に児童扶養手当の受給資格の認定を請求するも退けられ、児童扶養手当法の併給禁止規定が憲法一四条の平等や二五条の生存権に反するとして起こした裁判です。七二年に神戸地裁で勝訴。その後の高裁では勝利できませんでしたが、その後、制度改善につながりました。
開会にあたり、堀木文子さんや、先日亡くなった朝日健二さんなど、この国の社会保障拡充に奮闘した物故者に黙とう。
元堀木訴訟弁護団の藤原精吾弁護士が「社会保障裁判の系譜と現代的意義」をテーマに基調講演。「朝日訴訟がすべての生存権闘争の源流であり、堀木訴訟はその理念と運動を受け継ぎ障害のある人の権利を確認して、差別に反対するたたかいの原点となった」と、社会保障裁判の歩みを振り返りながら、「父なる朝日訴訟、母なる堀木訴訟」の二つの裁判を通じて社会保障に関わる研究者や弁護士が育ち、現在の社会保障裁判に引き継がれるなど運動の発展を生んだ、と紹介しました。
金沢大名誉教授で生存権裁判を支援する全国連絡会会長の井上英夫さんがコーディネーターでシンポジウムも。シンポジストは、(1)朝日訴訟、(2)堀木訴訟、(3)生活保護の老齢加算・保護基準引き下げ違憲訴訟、(4)障害者自立支援法・介護保険関係の裁判運動(和歌山・岡山)という四つのテーマで、当事者と支援者、そしてベテランと若手の学者と弁護士ら総勢一一人。人には「人間らしく生きたい」という共通した願いがあることや、その根源には憲法九条を受けた平和的生存権があったことを発言しました。
全日本民医連の藤末衛会長もフロアから「社会保障総がかり運動」の必要性を提案・発言しました。
(久保哲、徳島県民医連・社保平和委員長)
(民医連新聞 第1608号 2015年11月16日)