第12回全日本民医連 学術・運動交流集会in大阪 いのち、憲法、綱領の視点で全国の仲間の実践学ぶ
10月9~10日、全日本民医連は第12回学術・運動交流集会を大阪で開き、全国から約1300人が集まりました。「戦後70年、平和憲法を守り抜き、戦争する国づくりを許さない運動をすすめよう」「無差別平等の地域包括ケア実現をめざそう」「いのち、憲法、綱領の3つの視点で時代をみつめ、行動をおこそう」がメーンテーマ。医療・介護や運動、職場づくりなど現場の実践を持ち寄り、交流しました。
民主主義を学ぼう
オープニングは、大阪の職員のバンド「ふるふる」が大阪にちなんだ三曲を演奏。若手医師がボーカルをつとめ、盛り上げました。
「民主主義という言葉を通して、この集会と今の時代を結びつけたい」と実行委員長の堀口信全日本民医連副会長のメッセージが読みあげられました。「民主主義とは、単なる政治のありかたではなく、すべての人間を個人として、尊重し価値あるものとして扱おうとする心―。これは、戦後の文部省が製作した教科書に書かれた民主主義の説明です。この根本精神をひきついでいるのが戦争法反対に立ちあがった若者、国民や私たち。私たちのとりくみに確信をもとう」と呼びかけました。
つづいて全日本民医連の藤末衛会長が、八月に開いた第三回評議員会で「戦後七〇年、被爆七〇年、平和と人権をさらに高く掲げて」の特別決議を行ったことを報告し、議論を呼びかけ。そして「医療・介護の活動から人づくりまで、民医連の全ての活動を集め交流できる唯一の集会。来年三月の民医連総会を見据え、民医連の次の方針を作るつもりで臨んで下さい」と発言しました。
開催県から向井明彦大阪民医連会長が歓迎あいさつ。今春行われた大阪都構想の住民投票で、全国から受けた支援に感謝を述べ「一一月二二日の大阪府知事・大阪市長のダブル選挙では維新政治を終わらせたい」と表明しました。
記念講演は、長野県阿智(あち)村の前村長・岡庭一雄さんが「憲法が活きる自治体を目指して 南信州阿智村の実践から」と題して行いました。「岡庭さんの『住民自身が主体となることが大事』の言葉を聞き、これからは自分から発言し、行動しようと思いました」と、秋田の理学療法士・鈴木友子さんは感想を語りました。
「全国のつながり、感じた」
全体会の後は、二三会場で分科会とポスターセッションを行いました。医療介護実践や人権を守るたたかいなど、七一〇本の演題が報告されました。
「地域包括ケア、介護と医療および歯科、保険薬局との連携、地域との連携(1)」分科会では、地域の医療機関と「在宅医療フォーラム」にとりくんだ経験(兵庫)、歯科衛生士が関わり胃ろう患者が経口摂取可能に(東京)など一二本の演題発表がありました。
「憲法を守り、人権としての社会保障を実現するたたかい」分科会では一一本の発表が。無低診に関する報告が半数以上を占めました。無低診利用者の院外処方への自治体の独自助成を市に求め実現した薬局の報告(沖縄)、重度障害児の医療費窓口無料を県が廃止し、「元に戻せ」とたたかう報告(山梨)などがありました。
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二日目は、五つのテーマ別セッションを行いました。「戦争・被爆体験、平和の運動をつなぎ、受け継いでいく大切さを学ぶ」「無差別平等の地域包括ケアと探求」「新しい時代を切り開き、健康権実現を担う民医連らしい職員育成をどうすすめるか」。そして、オープン企画に位置づけた国際フォーラム「平和と健康権、世界の新自由主義を乗り越えて」と「遺棄毒ガス兵器被害の問題を考える―戦後七〇年の視点―」です。
北海道の臨床検査技師・江良祐子さんは「日々の業務の中では、全国とのつながりが意識できませんが、ここで民医連の良さや、すすんだとりくみに触れ、自分もその一員なのだと誇りに思えました」と語っていました。
(民医連新聞 第1607号 2015年11月2日)