第36回民医連全国青年ジャンボリー in 岡山 We are 桃太郎! 仲間と出会い、学び、始めよう!
九月二七~二九日、岡山県湯原温泉で第三六回JB期民医連全国青年ジャンボリー(JB)in岡山が行われ、約六五〇人が参加しました。青年職員が企画・運営し、全国の仲間と人権や平和を学び交流しました。(土屋結記者)
今回のテーマスローガンは、「We are 桃太郎! 仲間と出会い、学び、始めよう!~“晴れの国”岡山でぼっけぇ楽しい鬼退治じゃ!! 温泉つかって仲良うなろーや~」。「鬼」とは、社会問題や日々の業務で感じるモヤモヤを意味しているそう。全国各地から集まった参加者は皆、緊張した表情でした。
社会を学ぶきっかけに
全国JBin岡山は、そんな緊張を和らげる「JB体操」からスタートしました。開会式では、桃太郎とお供の犬に扮した司会者二人が登場し、会場を盛り上げました。「また全国JBに参加したいと思える企画を考えました。みんなで盛り上がりましょう!」と全国実行委員長のアヒージョ(JBネーム、医師・岡山)が呼びかけ。岡山県民医連の高橋淳会長は「二日目の企画には岡山の自慢がすべて入っています。存分に学び交流して」とあいさつ。「JBベテラン」による対談も盛り込み、自分がJBに関わったきっかけや楽しみ方を話し、「参加者一人一人が主人公。大切な三日間にしましょう」と呼びかけました。
二日目はフィールドワーク。岡山ならではの題材で、貧困や生存権、公害問題、平和などについて学びました(別項)。夜の大交流会では、「格付けクイズ」で頭を、「ピーチレース」で体を使って交流。最後は岡山の祭りの「うらじゃ」踊りで、会場全体が盛り上がりました。
最終日。学んだことや感じたことを班で振り返り、それぞれが班の仲間へのメッセージを写真に書き込みました。JBでは、参加者は三日間、班の単位で討論・交流しますが、今回は六〇班が組まれました。「初めての参加なのに班長になり緊張した」と語ったのは沖縄のリーダー(事務)。「初対面でも班員みんなが積極的になり、よく助けてくれた。それはJBだから、民医連だから」。
閉会式では、開催期間中に参加者全員の手形を取り平和への願いを込めて作った「手形アート」をお披露目。閉会あいさつで、全国事務局長のピンスト(事務・宮城)は「JBをきっかけに、社会情勢へのアンテナを持ってほしい。視野を広げて、より良い日本になるように活動していきましょう」と呼びかけました。
職種としては参加の少ない医師のしょうゆ(北海道)も「“無知の知”を得られるのがJB。まだまだ知らないことがあると改めて実感した。業務から少し離れて、一人じゃなくみんなで考える時間が持てて良かった」と生き生きと語りました。
作り手も成長できた!
全国JBの企画・運営をするのは、各県連から集まる全国実行委員と、開催県連で結成する現地実行委員です。一年半の準備期間の中で一緒に悩み時には衝突しながらも、「より良いものを作ろう」と一致団結して全国JBを作り上げました。当日の企画の成功だけでなく、こうしたとりくみを通じて、作り手自身も成長できるのがJBの大きな魅力です。
開催地の岡山を代表して全国実行委員になったモモティ(事務)は、「最初は不安でいっぱいだった。でも、ほかの県連からもたくさん応援してもらって、『やれるんだ』と自信になった」と感謝を語りました。準備期間を振り返りながら、「岡山のメンバーみんなが成長した。自分が踏み出すことで、仲間の成長にもつながったことが嬉しい」と語りました。
愛知の全国実行委員のせいこは、五年目の事務。現場では大ベテランの看護師さんたちと師長室で働いています。そうした日常とは違う環境で同年代の仲間と一緒に過ごし、「自分の長所や短所がはっきり自覚できた」と。「実行委員には情熱をもった青年職員が集まる。“より良いものを”という、みんなの真摯な気持ちが私にも伝染し、仕事にも活きてくる」と振り返りました。
最後に、現地事務局長のOGI(オージ)(事務)から。「現地の皆が“人を思いやる気持ち”が持てた。これは、コミュニケーションの土台になる」と語りました。「互いの仕事や職種の違いを理解して準備をすすめる雰囲気ができました。JBの魅力はやっぱり“つながり”。今後も、自県連だけでなく全国に長く付き合っていける仲間ができた。仕事だけでない、個人の人生にも財産です」と話しました。
フィールドワーク8コース
▼ハンセン病~長島愛生園でハンセン病を学び、瀬戸内の絶景と果物狩りで岡山を満喫しよう~
長島愛生園職員の案内で園内を見学。社会からハンセン病患者を隔離し、人権を無視した国の誤った政策や、差別の実態やその重大さを学びました。
▼朝日訴訟~朝日訴訟から人権について学ぼう~
朝日訴訟の会・川谷宗夫事務局長が講演。岡山民医連の先輩たちは、朝日茂さんのたたかいをささえました。生存権の持つ意味や社会保障充実のために民医連職員に何ができるかを考えました。
▼亀島山地下工場~亀島山地下工場から見える水島地域の歴史と倉敷医療生協の成り立ち~
亀島地下工場は第二次世界大戦中に作られた三菱の航空機工場。亀島山地下工場を語り継ぐ会・上羽修副代表の講演を聞き、平和について考えました。
▼森永ヒ素ミルク事件~食品公害について考え、蒜山の自然を満喫しよう~
水島協同病院・松岡健一名誉院長の講演。企業や政府の社会的責任や食の安全について考え、民医連職員が、今後どう行動するかを議論しました。「私の担当した患者にも被害者がいます。家族も本当に苦しい思いをしている。寄り添うことしかできないけど、それが大切だとよく分かった」(ひちょり、看護師・大阪)
▼岡山大空襲・戦跡めぐり~岡山大空襲における被害を戦跡めぐりや体験者の話を通して学習しよう~
岡山大空襲の体験者の話を聞き各地の戦跡をめぐりました。戦争する国へと向かう情勢を議論しました。
▼バイオマスツアー~バイオマスタウン真庭で考える「持続可能な社会」と「脱原発」~
真庭市で行われているバイオマス発電から地域と結びついた産業を学び、安心して住み続けられる社会とは何かを考えました。「民医連は、地域の人と一緒に活動している。もっと活性化させるには、地域の特徴を掘り起こして深く知らなければ」(ゆき、事務・大阪)
▼倉敷公害訴訟~「水島探検の旅」地域に向き合う医療を考えよう~
水島財団や倉敷市職員から倉敷での大気汚染公害を学び、水島協同病院・里見和彦院長の講演で患者に寄り添う医療を考えました。「患者自身が先頭で行動したのがすごい。ささえる側でもいいから、行動できる人になりたい。これからも利用者を第一に考えて仕事したい」
(ねぎちゃん、介護福祉士・北海道)
▼石井十次と岡山孤児院~子どもの貧困から何を考えるか。石井十次の活動をきっかけに~
新天地育児院・梅里拓志院長と龍尾和幸副院長の講演から、日本で初めて孤児院を作った石井十次の活動を学び、林道倫精神科神経科病院の星昌子地域医療部長から、現在の子どもの貧困の実態を聞きました。
(民医連新聞 第1606号 2015年10月19日)