無差別・平等 貫くには― 地域包括ケア学習討論集会 全日本民医連が開催
八月一~二日、全日本民医連は地域包括ケア学習討論集会を東京で開きました。法人・事業所の管理者が対象で、関係者含め、約二五〇人が参加しました。
集会は学習・討論の形で開催。藤末衛全日本民医連会長は開会あいさつで「無差別平等の地域包括ケア」は民医連が四一回総会で提起した四つの重点課題(医師、職員育成、共同組織の画期をつくる、医療構想)と深く関連している、と語りました。また今回の問題提起は「議論のきっかけ」であり、活発に討論をと呼びかけました。
▼「運動」として捉える
一日目は二本の学習講演。一本目は佛教大学社会福祉学部の岡崎祐司教授が「住民本位の地域包括ケアを考える」と題して行いました。
岡崎教授はまず、地域包括ケア・システムがどのような情勢のもと推進されているかにふれ、安倍内閣の医療制度改革がこれまでの医療費抑制政策の延長でなく、新段階の新自由主義的改革で、医療に営利主義を導入し人権の観点を医療から脱落させる、と指摘。社会保障充実にとりくむ人々は地域包括ケアを政府がねらう医療供給体制改革(病床削減)の「受け皿」でなく、住民や専門職が望む、人間をささえるケアにするための「運動」としてとらえようと呼びかけ。社会的使命をもつ事業主体が参入し、人権を守る優れたとりくみの蓄積が重要、と強調しました。
二つ目の講演は、日本医師会の鈴木邦彦常任理事が「地域包括ケアシステムにおける医師会の役割」と題して、政府の審議会メンバーとして政策検討に関わってきた立場から、医療制度改革の情報や日本医師会の評価などを解説。日本の医療システムが諸外国と比べ優れていると強調。超高齢社会の地域の医療機関の関係性は急性期を頂点とした垂直の連携でなく、水平型が望ましいこと、医療機関を中心にしたまちづくりの可能性も語りました。
二日目は分散会のほか、五本の指定報告(地域包括ケアネットワーク/訪問看護ステーションの役割/共同組織/医師養成/中長期経営計画)がありました。
(民医連新聞 第1602号 2015年8月17日)