民医連らしい実践を学びあう 第2回チーム医療研修交流集会
全日本民医連は、第二回チーム医療研修交流集会を七月一一~一二日に開催しました。民医連が四〇期総会方針で掲げた「医療活動の二つの柱」を推進する核心的なテーマとして二〇一三年に開催し、今回は二回目です。第一回以降の実践をもとに、「民医連らしいチーム医療について深める」「全国の実践を可視化し共有する」「県連や法人単位でのファシリテーター育成の推進」と、三つの獲得目標を設定。三六県連から一九一人が参加しました。(土屋結記者)
全体会に先立ち一日目の午前中は、ファシリテーター研修会を行いました。実際の事例を使い多職種で議論するケースメソッド方式を用いて学びました。
全体会の開会あいさつを行った堀口信副会長は、「どんな職員にも発言する勇気に敬意を払い、その発言に耳を傾けることがよりよいチーム医療の基本」と語りました。尾形文智理事(全日本民医連学術委員会委員長)は問題提起で、「チーム医療は民医連内外で注目され、今後の医療・介護のあり方や方向を示す重要な焦点」と位置づけました。
まず、日本福祉大学の篠田道子教授が講演し、「医療・福祉分野に求められるリーダーシップは『ファシリテーター型リーダーシップ』。患者に良いと確信したことはあきらめずに食らいつき、周囲を説得しつつ前進すること」と話しました。また、京都民医連中央病院からケースメソッド方式の研修が実践報告として紹介されました。
「地域包括ケア時代と患者の人権を守るチーム医療」をテーマに行ったパネルディスカッションでは、四人の職員が民医連らしいチーム医療の実践を報告し、参加者と議論を深めました。(別項)
二日目はポスターセッション。五〇のポスター演題が発表されました。事業所内や地域でとりくんでいる、全国各地でのチーム医療の実践を交流しました。
パネルディスカッション
ケアマネ、看護師、医師が実践報告
▼東京・ケアサポートセンター千住の石田美恵ケアマネジャーが「地域のケアマネジャーが考えるチーム医療」のテーマで発言。
石田さんの地域では、病院や老人保健施設、訪問看護、居宅介護支援事業所などから責任者が集まり、利用者の情報を共有する「有床施設利用調整会議」があります。また、認知症の人の金銭管理や制度の申請手続きの援助など、社会保障制度の隙間を埋めることも仕事になっていると話し、「民医連のチーム医療がうまくいくのは、多職種がお互いに職種の背景や制度を学び相互理解をしているから」と語りました。
▼北海道勤労者医療協会の加地尋美看護部長は「健康権を学び自己責任論と対峙するチーム医療」と題し報告。定時制高校の健診から見えた健康と貧困の関わりをまとめ、全職員と共有したり、健康権の視点から事例を深める看護研修を行うなど、事業所や職種単位で学んだ経験を紹介しました。「多職種で健康権を学ぶと職種間の理解が深まり、チーム医療を実感する場になる」と話しました。
▼大阪・耳原総合病院からは、「患者の人権を守るチーム医療」として、サポートセンター開設のとりくみを福田まさみ副総看護師長が報告。センターは患者、全職員、地域の医療機関をサポートする目的で開設し、患者からの相談やクレーム対応、各部署からの情報を集め発信すること、地域連携や退院調整を一つの窓口で行うことなど、連携に果たす役割を紹介しました。
▼福岡・千鳥橋病院の有馬泰治医師(地域包括ケア病棟医長)は、「チーム医療と医師養成」を報告。初期研修医が民医連のチーム医療を学ぶ「しかけ」づくりを紹介しました。初期研修医は看護師やヘルパーといった他職種の業務を経験したり、先輩医師と一緒に地域に出ています。こうして学ぶことで、後期研修以降も民医連にとどまる医師を養成しています。
(民医連新聞 第1601号 2015年8月3日)