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民医連新聞

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相談室日誌 連載392 「ごみ屋敷」といわれる住まいに居る人と――(福井)

 ショートステイに新しい利用者の依頼がありました。生活保護を受給中の七〇代女性で要介護1、認知力は歳相応。心不全や高血圧のほかに凍傷と収集癖があります。市内でも有名な「ごみ屋敷」の主で、屋内はごみ(本人にはごみではない)でいっぱいのため、自宅前の歩道で生活していたのです。主な介護者は次男と婚約者ですが、二人には軽度の知的障害があります。
 ショートステイの利用は、数年前に低体温症で病院に搬送されたことがあったため、冬場の対策です。本人自身は利用に乗り気でなく、家を空けることが不安で「自分が居ない間に誰かが何でも持っていってしまう」と訴えました。
 ショートに来たばかりのころは、屋外生活が長かったせいで、衣類は汚れ、強く臭いました。すぐ入浴してもらいましたが、持ってきた着替えにも臭いが移り、一旦洗濯したほどでした。いまは入浴時に脱いだ衣類は施設で洗濯業者に出し、本人には何曜日に戻るか毎回伝えています。そうすることで、以前あった「盗られた」という発言はなくなりました。
 週一回、小規模デイに通い、そこでも入浴や洗濯を。また週一度は次男宅に泊まり、買い物に出たりもしています。足の凍傷や心不全によるむくみも、利用を重ねるにつれ改善しました。
 ただ本人が持参する荷物は、利用を重ねるごとに増加中です。最初はごみ袋1つでしたがいまは二つ。送迎時に職員が「必要最低限の物を」と、声をかけますが「全部大事」と減りません。
 当初、私たちのショート利用は、冬期に身を守ることが目的でした。しかし、在宅生活が難しく外出も嫌った本人が、手作業や他の利用者との交流もしっかりやり「快適や」と利用するようになりました。新たな「居場所」が提供でき、健康状態の把握にもつながり、最後のよりどころの役割が果たせていると実感します。
 「これこそ民医連らしさ」と職員と分かち合い、今後も民医連の介護理念や民医連綱領を意識して、さらに関係を築き、自宅の荷物の整頓にもかかりたいと考えています。とても長い道のりだと思いますが、本人の気持ちを一番に、今後も関わっていきたいと思います。

(民医連新聞 第1596号 2015年5月18日)