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民医連新聞

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里子・里親 文・朝比奈 土平 (2)夫婦で「やってみようか」

 二人には子どもができなかった。不妊治療に通って七年目の二〇一一年春に、クリニックの女医さんが「子宮の移植というのもあるのだけれど…」と言いだした。夫婦で話し合って不妊治療はそこまでにした。
 それが三・一一の大震災と原発メルトダウンの前後のことだった。梅雨ごろテレビで震災孤児のことを取り上げていたのを見て、そんな子はどうしているのかと話した。
 県の児童相談所に電話をしてみたら「一度来てみてください」ということだった。被災地の孤児たちは、多くが親族に引き取られていると聞いた。八月の初めごろ、車で三〇分くらいの児童相談所にいった。Kさんという課長が、里親制度の概要、研修のスケジュールや里親登録までの手順などを説明してくれた。
 ところで我が家は事実婚だった。何かポリシーがあってというよりは、いちばん身近な法律の専門家であった義父が「そのうち法律もできるだろうから、そのままでいいんじゃない?」ということばに従った。
 薬害肝炎訴訟で知り合った同世代の弁護士に、事実婚でも養子縁組里親ってできるかいな? と聞いてみたところ、「個人的にはできるようにしたいですね。ところで我が家も冬に赤ちゃんをもらうんです」と言う。里親友達の第一号が法律家夫婦というのはなかなか頼もしい感じがした。
 それで一一年秋から冬に里親研修を受けた。里親には大別すると「養育里親」と「養子縁組里親」、「親族里親」があり、前の二種類の里親になるには研修を受けて県の認定審査会で認定され、里親登録しておかないといけない。養子縁組里親の認定審査会では「この二人は事実婚で養子縁組をどうするんだろう」という声も出されていたらしい。
 結論から言うと一三年の八月九日に入籍してしまった。実に大阪城野外音楽堂に忌野清志郎のロックショーを見に行って再会した我々夫婦にとって一〇年目のことだった。
 結婚生活二年目の〇五年七月三日、キヨシローは電力会社所有のホールでのコンサートで、逆説的な「原発賛成音頭」を歌ったあと、「ざまあみろ! 九州電力!」と叫んだ。
 次回はアキラが出てきます。

(民医連新聞 第1594号 2015年4月20日)

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