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民医連新聞

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地域医療、現場から問う ドクターズ・デモンストレーション2015

 2月22日、東京でドクターズデモンストレーション2015シンポジウムが開かれました(主催:実行委員会)。「医療崩壊をくい止めよう、医師をはじめ医療界から声をあげよう」と、毎年とりくまれています。今年は統一地方選挙を前に、地域医療がテーマ。「医療と介護」を争点にしていこうと話しあいました。(田口大喜記者)

 シンポジウムに先立ち、三重短期大学の長友薫輝教授が「地域医療の再生へ」をテーマに基調講演しました。長友さんはまず政府がすすめる「社会保障解体」政策について触れました。
 医療費を抑制するために患者の窓口負担を増やすのみならず、病床を減らし、在院日数を短縮するといった医療供給体制そのものの見直しも行われていること。昨年四月に行われた診療報酬改定には「患者を施設から自宅に帰す」という一方通行の流れが作られていること。さらに、国民健康保険を都道府県単位化し、県にも医療費抑制の役割を担わせるなど、多様な手法ですすんでいます。
 生存権は貧困者が救済してもらう「恩恵的権利」ではなく、理不尽な政策や社会のしくみを変える主体的権利を示したものである、と生存権の意義を再確認しました。

シンポジウム 貧困、医療介護、住民運動

 シンポジウムでは、四人が報告。
 東京・中野共立病院の山田智院長(全日本民医連副会長)が、地域包括ケアを意識した同院のとりくみを報告。また厚労省が発表した介護事業所の経営実態調査の問題点に言及。厚労省が発表した介護事業所の利益率八%は民医連全体の一・六%からみてもありえない、と指摘しました。
 東京でホームレス支援などにとりくむ「世界の医療団」に所属する西岡誠医師は、ホームレスの実態を報告しました。子ども期から貧困な人が多く、解決のためには学習支援や障害児支援など手だてが不可欠と語りました。
 医療生協さいたま新座支部で活動する広瀬ミサ子さんは「保険でより良い歯科医療の実現を求める意見書」を、何度も新座市に働きかけて採択させ、歯科の特定健診が無料になった経験を報告しました。支部ではほかにも、緊急通報システムの無料化を勝ち取った実績も。自治体運動の重要性が語られました。
 東京・日の出町からは折田真知子町議(共産)が「日本一お年寄りにやさしいまちづくり」をめざし、七五歳以上の医療費無料を中心とした同町の福祉政策を報告。負担ゼロ以降、一人あたりの医療費は減っており、増加傾向にある東京都とは逆のことが起きています。受診抑制を防いで早期治療をすれば医療費は軽減可能だと示す実績です。七〇歳の医療費の二割負担が始まろうとする中、明るい話題です。一方、このような独自の軽減策を行う自治体には国庫負担が減らされるペナルティーの問題も指摘されました。
 閉会あいさつでは代表世話人の住江憲勇さん(全国保険医団体連合会会長)が「医療を政府の思うままにさせてはなりません。国民のいのちと健康、暮らしについて医療人の私たちが発信していきましょう」と呼びかけました。

(民医連新聞 第1592号 2015年3月16日)