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民医連新聞

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全日本民医連 第2回評議員会ひらく 戦後70年 暴走政治に地域から立ち向かおう

 全日本民医連は2月21~22日、東京都内で第41期第2回評議員会を開きました。評議員83人(予備含む、欠席1人)と全日本理事など約160人が参加。1年間の活動を総括し、次期総会(来年2月)までの1年で41期方針をやりきる決意を固めました。2014年度決算、15年度予算、方針を全会一致で採択しました。1日目の夜には一橋大学名誉教授の渡辺治さんが「新段階に入った安倍政権の政治にいかに立ち向かうか」と題して講演しました(講演の要旨は次号)。

 柳沢深志副会長が開会あいさつ。来日中の韓国保健医療団体連合のイ・サンユン政策局長、ビョン・ヘジン企画室長があいさつしました。
 藤末衛会長は、安倍政権の暴走は、国民の世論と運動で思い通りにはすすんでいない、と指摘。「戦後七〇年、被爆七〇年、平和と人権を掲げ、地域からさらなる国民的共同、前進の年に」と呼びかけました。
 岸本啓介事務局長が理事会報告。方針案に寄せられた意見・感想には、福島の現状に心を痛める声が多かったと紹介。「事故を風化させず、長い年月をいっしょにすすんでいこう」と強調しました。
 原発再稼働、沖縄の新基地建設、社会保障解体、消費税増税、軍事費増強などをねらう安倍政権に対し、「民医連は、健康権、生存権を守る立場で奮闘する」と表明。あらためて「全ての事業所が無料低額診療事業に挑戦を」と呼びかけ。憲法を学ぶ運動を提起しました。
 新専門医制度に対して民医連が発表した見解には他団体からも賛意が寄せられていると紹介。県連、法人、事業所での積極的な討論を呼びかけました。
 続いて谷口路代事務局次長が経営について報告。上半期の赤字から大幅に改善したものの、「厳しい状況に変わりはない」と報告。非営利ホールディングカンパニー構想は医療費削減が目的で行政の関与も強くなる、と問題を指摘しました。

74の発言で活発な議論

 二日間の討論で、七四の発言(一五の文書発言含む)がありました。

■情勢と民医連のとりくみ 新基地建設反対のたたかいが続く沖縄から座波政美評議員が発言。「沖縄が特別ではなく、民主主義からかけ離れた政権の下ではどこでも起こり得る。良識ある運動を全国で広げよう」と呼びかけました。北海道の堺慎評議員は、四月の道知事選挙で共同の候補者選定をすすめた結果、TPP反対、集団的自衛権反対を掲げる候補の推薦を決め、「沖縄に続き勝利を」と決意を語りました。
 福島の北條徹評議員は、国と東電が自営業者への営業損害賠償打ち切りを表明した問題に触れ、「原発事故の損害が続く限り賠償を求めていく」と報告しました。広島の浜崎忍評議員は、昨年八月の豪雨災害について、「全国からの支援に勇気づけられた。災害支援を通して、民医連職員として何をすべきか学んでいる」と発言しました。
 京都民医連の尾崎望評議員は、県連で「地域包括ケアプロジェクト」を設立し、共同組織とともに民医連内外の団体・個人と協力していくと紹介しました。
 そのほか「利用者・家族への影響を明らかにし、介護報酬引き下げ撤回の運動を」(全日本民医連・新井浩之理事)、「看護師の特定行為について、医師も含めた委員会等で議論を」(京都・松浦ときえ評議員)などの発言がありました。
 全日本民医連理事会からは、「新専門医制度について」「無差別・平等の地域包括ケアを可能にする共同組織の役割」「職員養成の全国のとりくみ」をテーマにした発言もありました。

■新専門医制度、医師養成 神奈川の原弘明評議員は、川崎協同病院の若手医師の活動を紹介。「内科の将来を考える会」や週三日の初期・後期研修医独自の勉強会を継続しており、「同門会(仮称)」も計画。「一人ひとりを大切に育てることが重要」と強調しました。
 長野・熊谷嘉隆評議員は、「人権を擁護する医師をどう育てるか」と切り出し、自身が所長を務める診療所では、困難を抱える在宅患者の往診に意識的に研修医を連れていくと紹介。「行動変容に結びつくような経験をどれだけできるかがカギ」と語りました。

■無差別・平等の地域包括ケア 鹿児島・税所孝樹評議員は、離島の老健施設の実態を報告。老健での保険請求は限定的で、検査や他医受診は施設の持ち出し、これ以上の報酬引き下げがあれば存続できないと強調。岡山・井場哲也評議員は、介護保険改悪で特養ホームの多床室にも居住費が課されると、「年収二一〇万円程度の夫婦なら、多床室でも月額九万円の負担。どちらか入所すれば残った方は暮らせない」と告発しました。

■職員養成 神奈川の小森澄子評議員は、「子どもの貧困」をテーマに全職場で事例検討会を行ったと報告。体重が増えず、第一子の発達障害も疑われる妊婦のケースを三回にわたって検討。「若手医師を実行委員にし、入念に準備した。“他職種につなぐことを学んだ”などの感想が出された」とまとめました。北海道の加地尋美評議員は、「健康権」をテーマに学習会を重ねている経験を紹介しました。(丸山聡子記者)

(民医連新聞 第1592号 2015年3月16日)