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民医連新聞

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「盗聴法」改悪案、内容は― 監視社会に道開く

 盗聴法(犯罪捜査のための通信傍受に関する法律)の改悪がもくろまれ、現在開かれている通常国会に改悪案が提出されようとしています。「共謀罪」新設の動きとも関わっています。問題点を整理します。

 盗聴法は一九九九年に可決されました。国会で審議にあがると「市民のプライバシーを侵す」と、反対の声があがり、対象犯罪を限定、通信事業者の立ち会いを必須にするなどの制約を設ける修正が行われました。そのため、法施行後も通信傍受は年間一〇件程度。今回の改正はこれらの制約を取り払う内容です。

盗聴をより簡単に

 ひとつは、傍受を行える対象犯罪の拡大です。現行では、薬物、銃器犯罪、集団密航、組織的殺人の四つに限定していますが、(1)殺傷犯等関係(放火や殺人、傷害、爆発物使用)、(2)逮捕・監禁、略取・誘拐関係、(3)窃盗・強盗関係、(4)詐欺・恐喝関係、(5)児童ポルノ関係を追加。盗聴捜査が通常の捜査手段とされ、多くの人の人権を侵害する恐れがあります。
 「これらの犯罪が組織的に行われていることが『疑うに足りる状況なら』という実施条件つきですが『図書館の本を返却しない』などの理由でも盗聴の対象にされかねない」と、一月二七日に東京で開かれた「盗聴法大改悪に反対する市民の集い」で、弁護士の山下幸夫さんは指摘しました。
 もうひとつは、傍受の際に必須の通信事業者の立ち会いを不要にする問題です。第三者の立ち会いは、不当な捜査を監視する目的。これを外せば、警察の好き勝手に違法盗聴が行われる危険があります。

共謀罪と連動

 そもそも今回の法改正の審議会(新時代の刑事司法制度特別部会)は、大阪地検特捜部の証拠改ざん事件(二〇一〇年)を機に、捜査や公判のあり方を見直す目的で設置されました。しかし、最終答申では、肝心の取り調べの可視化はすすんでおらず、通信傍受の大幅拡大が盛り込まれていました。
 これは「共謀罪」の新設と連動しています。共謀罪とは、犯罪を行っていなくても、実行を複数で話し合い、合意しただけで罰する法律です。その証拠を得るには、会話を監視する必要があります。

(民医連新聞 第1591号 2015年3月2日)

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