いのち守るたたかい地域から (5)介護保険改悪反対 大阪府堺市 「願いは同じ」1万人が署名
各地の自治体運動を紹介するシリーズ。今回は介護保険制度改悪を阻止するため、一万人のアピール署名をめざし、達成した堺市から。同仁会介護保険事業部の地道亮さんの報告です。
介護保険改悪に歯止めをかけるため、改悪反対の賛同者を一万人集めて運動を広げようと、民医連の三法人と民医連以外の社会福祉法人、堺社保協、市民団体で昨年八月ごろ「堺・介護1万人アピール実行委員会」を立ち上げました。
実行委員会では多くの人と手をつなぐ運動にしようと、まず、呼びかけ人を集めました。堺市在住の著名人に声をかけると、短大の学長や弁護士、詩人、画家、経営者ら幅広い層の一六人が呼びかけ人になってくれました。
賛同署名は「介護保険改悪で介護難民をつくらない。いつまでもこのまちに住み続けたい」をテーマに集め、昨年一一月に一万人の目標を達成しました。
一一月一一日の介護の日には宣伝行動を行い、介護、福祉関連の職員と友の会会員五〇人が集まり、盛り上がりました。
一般の市民にも運動を知ってもらおうと、新聞意見広告の賛同とカンパを募りました。目標の一〇〇万円を集め、一一月一三日の朝日新聞に「これからも安心して暮らしたい このまちで」とのキャッチフレーズで意見広告を掲載。個人のほか、民医連以外の介護事業所や労組なども含め約八〇団体が賛同してくれました。
市と懇談を予定
実行委員会は昨年一一月二九日、「堺・介護を考えるシンポジウム」を開き、約三〇〇人が集まりました。シンポジウムでは大阪社保協の日下部(くさかべ)雅喜さんと、認知症の人と家族の会副代表の勝田登志子さんが講演しました。
日下部さんは介護保険制度改定の内容や、要介護認定を抑制するための「基本チェックリスト」導入の動きなどを解説しました。厚生労働省社会保障審議会介護保険部会委員を務める勝田さんは、委員会の実態をリアルに報告。ひたすら支出を抑えるために、制度を変えようとする各委員の発言に憤るととともに、「学ぶことは行動すること。税金がきちんと社会保障のために使われるようにするには、政治を変えなければならない」と熱く訴えました。
会場の介護保険利用者本人から「せめて今の制度を維持してほしい。役所でも竹山市長のとこでも、どこへでも行くで」と切実な訴えも。ボランティア活動を行う市民や認知症患者の家族など、さまざまな人が発言し、共感しあうことができました。
実行委員会では署名目標達成やシンポの成功を力に、市と懇談会を行う計画です。また、市の第六期介護保険事業計画にパブリックコメントを提出する予定です。
(民医連新聞 第1589号 2015年2月2日)