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民医連新聞

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フォーカス私たちの実践 介護施設の看取り実態調査 沖縄・協同にじクリニック 看取りの時期に施設を出され― 医療と介護、連携のカギは

 「人 生の最期を安心して迎えたい」―。誰もが願うことですが、政府の医療費抑制策により、今後は医療機関以外での看取りが増えることが予想されます。では、介 護施設で看取りの対応はすすんでいるのでしょうか。沖縄民医連の協同にじクリニックが、施設の看取りの実態を調査しました。調査結果に基づき施設との連携 や支援方法を模索しています。看護師の仲間亜希子さんの報告です。

 協同にじクリニックでは自宅四四人、介護施設(二三施設)の九〇人に訪問診療を行っていま す。最近、看取りの時期を迎えた際、それまで入居していた施設から「受け入れができない」と告げられ、入院や他施設への転居を余儀なくされるというケース がみられるようになりました。
 そこで、日常的に関わりのある介護施設の看取りの現状について、調査しました(二〇一三年一〇月)。二三施設にアンケート用紙を配布し二〇施設が回答。 このうち、看取りをしている施設は七施設(三五%)、看取りをしていない施設は一三施設(六五%)でした。
 看取りをしていない施設に理由を聞くと、「スタッフの確保が難しい」が四〇%、「療養環境が整っていない」三二%、「スタッフの教育・学習ができていない」二〇%、「経営的な問題」四%との回答でした()。今後に関する質問では、「看取りを考えている」が八%、「状況が改善できれば看取りをしたい」が五四%、「今後も看取りは考えていない」が三八%でした。
 なお、看取りをするうえで改善すべき点を挙げてもらうと、「スタッフの確保」三六%、「スタッフの教育・学習」二九%、「療養環境の整備」二一%でした()。「医療機関との連携」を条件に挙げた施設もありました。

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看取りの体制は―

 夜間スタッフ体制についても調査()。看取りをして いる施設は「介護職員のみ」が二九%、「看護師のみ」が一四%でした。「介護職員と看護師」の体制を組めている施設はありませんでしたが、「介護職員のみ だが状況により看護師が対応」が五七%にのぼりました。看取りをしている施設の半数以上で、状況に応じて看護師の応援体制があることが明らかになりまし た。
 看取りをしていない施設では「介護職員のみ」が六九%で、「介護職員のみだが状況により看護師が対応」は二三%にとどまりました。
 看取りの可能性がある利用者を一人の介護職員が担当するのは容易ではありません。急変時に看護師の応援があれば、介護職員の精神的・肉体的負担が軽減で き、利用者、家族にも安心感を与え、そのことが看取りを可能にしているといえます。
 また、看取りをしている施設の八八%が看取りの流れや急変時の対応、連絡先について、「家族と話し合いを持っている」と回答。一方、看取りをしていない施設では、家族との話し合いは八%にとどまりました。

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施設と看取りの学習会

 調査の結果、看取りをするためにはスタッフの確保、療養環境、スタッフの教育・学習が大きく関係していることが分かりました。人の死に関わりの少ない介護職員が看取るためには、教育、学習が重要です。
 看取りをするための療養環境は、個室が望ましいと考えている施設が多いことも分かりました。しかし、複数部屋の施設も多く、看取りのために施設を改築す ることは難しいのが実態です。最期の時だけでも、家族とゆっくり過ごせる部屋があればと思います。施設で看取りをするためには、「教育」「体制」「環境」 の整備が重要です。
 調査の中で看取りの学習会について聞くと、三分の一以上の施設が参加を希望しました。クリニックとして、施設職員を対象にした看取りの学習会の開催を計画しています。
 学習内容として、「看取りケアの指針の理解」「死生観の育成」「看取りケアの基本知識と技術」「夜間急変時の対応」「家族への対応」などが考えられます。
 学習会を重ねながら、クリニックと各施設でコミュニケーションを図り、安心して介護が提供できる体制を作っていきたいと考えています。

(民医連新聞 第1588号 2015年1月19日)