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民医連新聞

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どう見る? 総選挙結果 「国民の信任」口実に 安倍政権が狙うこと

 昨年一二月末に行われた衆議院議員選挙は、自公の「圧勝」「大勝」と報道されました。安倍首相は「国民に強く背中を押していただ いた。信任という大きな力を得た」と語り、戦争する国づくり、原発推進、労働法制改悪、そして社会保障解体などの路線を加速させる姿勢です。安倍政権は本 当に国民に支持されたのか? 狙っている政策は? 全日本民医連国民運動部の山本淑子・木下興両次長に聞きました。(木下直子記者)

■小選挙区制のマジック

 今回の総選挙で自民党と公明党合わせて三二六議席と衆院の三分の二の議席を得たことに、「安倍政権の支持がそんなに多いのか」と、がっかりした人もいるかもしれません。しかしこれは、小選挙区制度だからこその結果で、国民の意志の反映とは言えません。
 それは得票を見れば一目瞭然です。小選挙区で議席占有率七五%超の自民党ですが得票率は四八・一%でした。投票を棄権した有権者も計算に入れた「絶対的 得票率」では、自民党に投票した人は全有権者の二四・四九%です()。比例の絶対的得票率はさらに低く、一六・九 九%。六人に一人しか自民党に入れなかったのです。選挙後の世論調査(共同)にも、民意は表れています。安倍首相の戦争政策を「支持しない」が五五・ 一%、「支持」が三三・六%、憲法改正「反対」が五〇・六%、「賛成」三五・六%でした。
 戦争政策や新自由主義的政策を自民党と共に推進する「第三極」(次世代、維新)が大きく減り、自民党と対決する共産党が二一議席に増えたことも特徴です。憲法改悪も簡単にはいかなくなります。

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■戦争政策、社会保障攻撃

1588_02 選挙後、安倍首相が「信任」を口実に、行おうとしていることは―。
 戦争する国づくりの具体化のために、安全保障関連法案が統一地方選後にも出される見込みです。米国との戦争協力を強化する日米ガイドラインの見直しももくろまれています。
 社会保障では、高齢化による自然増まで予算から削る方針。小泉政権が毎年二二〇〇億円の社会保障費を削減して医療・介護崩壊を招きましたが、それを上回る犠牲を強いるものです。
 医療分野では後期高齢者医療保険料の軽減措置の廃止や入院給食費の負担増、国保の都道府県単位化など、患者・事業所の負担増が目白押し。介護は、要支援 サービスの市町村への移行や、介護報酬の削減が行われようとしています。
 高齢者の生活保障である年金は、支給開始年齢の延長や年金水準を切り下げ。生活保護は、段階的に実施中の生活扶助費削減に加え、冬季加算や住宅扶助の削減が検討されています。
 「残業代ゼロ」や「生涯派遣」などの労働法制の改悪も。貧困の拡大や働く環境の悪化は健康悪化や手遅れ事例も引き起こします。
 原発は、原発事故被災者の苦しみも顧みず、将来も推進する姿勢。原子力規制委員会は鹿児島・川内原発に続き、福井・高浜原発の再稼働の審査書案を了承。 経済産業省審議会の中間整理案には、再稼働に応じた自治体に交付金を重点配分するなど優遇策が盛られました。これは原発の輸出とも密接に絡んでいます。

■現場や地域で共闘広げて

 どうたたかうか。月末に出る第二回評議員会方針案も参考にして下さい。
 共産党が衆参両院で議案提案権を得たことは意味があります。医療・介護現場や地域の声が国会に届き、議論される大きな変化です。介護影響調査や手遅れ事例調査などのような現場の発信がさらに光ります。
 また統一地方選挙を控え、地方から声を届けることも重要です。「地方創生」を言いながら、地方解体を狙う安倍政権に抗する運動は、保守の人たちとも地域 の課題での一点共闘など一緒にとりくめる条件があります。新基地建設反対で団結した沖縄が良い例です。医療も介護も原発も、国の言いなりでなく、住民の立 場に立つよう自治体に働きかけ、各地でのろしをあげましょう。地域と結びついた民医連の出番です。

(民医連新聞 第1588号 2015年1月19日)