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民医連新聞

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相談室日誌 連載384 療養型病院の相談室が役割を果たすために 中多陽子(東京)

 Aさんはエレベーターのない団地の三階に介護が必要な夫と精神疾患の長男、障害年金を受給する長女と四人で暮らす七〇代女性です。昨年一月、担当ケアマネジャーから「在宅生活が困難」と、当院に入院依頼がありました。
 Aさんには精神発達遅滞もあり、糖尿病のコントロール不良で肥満でした。褥瘡もありましたが、家族には食事管理が難しく、「ネグレクト疑い」事例として 市の高齢福祉課や地域包括支援センターが関わり、訪問看護やヘルパーなど在宅サービスが細やかに支援していました。
 入院に際しての懸念は、費用の問題でした。これまでの未払い金もありました。本人と夫の年金額では入院費の支払いは厳しいものの、収入は生活保護基準を上回っていました。
 地域包括や訪看と協力して市に働きかけ、夫は特養へ入所、Aさんは世帯分離して生活保護を受給、ようやく七月末に入院できました。冷房のない部屋で脱水 症の危険がある状態でした。入院までは、書類など細かいことが気になると不安になり、病院に電話をかけ、納得するまで丁寧な説明が必要なことが複数回あり ました。
 入院後は病棟・リハビリスタッフと本人の努力の甲斐あって、体重は落ち、褥瘡も治癒方向、インスリンの量も減り、特養入所待ちです。
 長男は障害者作業所での週三回勤務を始めました。Aさんの在宅療養も考えたいが、就労を優先し、頻繁に面会し、外出などさせたいという意向です。いずれ は就労日数も増やし、生活を安定させていきたいと考えておられます。
 SWの役割として、家族・地域でがんばってきたバトンをしっかり受け取り、当院での療養生活につなげ、さらに今後の生活へ本人、家族も納得した形へもっていければと考えています。
 現在、療養型病院は医療区分二・三の八割超えと、新たに在宅復帰機能強化加算や地域包括ケア病床の取得など多くの課題がつきつけられています。在宅で暮 らす本人、家族、関係者にとって利用しやすい療養型病院とは何か、厳しい条件の中でいつも考えます。在宅を選択した人も在宅に戻れない人も、その人らしい 生活、生き方ができるよう支援していきたいです。

(民医連新聞 第1588号 2015年1月19日)