医被災地の窓 【福島県発】 「福島の研修医ささえよう」 地協でフォーラム
福島の研修医をささえるとともに、地協内の研修医の交流を図ろうと、北海道・東北地協が9月27日、福島市のわたり病院で「福島フォーラム」を開きました。北海道、青森、秋田、宮城、福島の研修医が印象に残った症例を発表、指導医を交え討論しました。
福島からはわたり病院1年目の国井綾さんが参加、“ごみ屋敷”と化した自宅から救急搬送された85歳男性のケースを報告しました。自宅退院できる状況で はなかったものの、介護保険や高齢者住宅は拒否。患者の暴力的言動に医師も看護師も疲弊し、素直に「どうしていいのか分からない」と話しました。
全日本民医連医師臨床研修センター長の尾形和泰医師は「民医連に多い困難事例といえる。生活に関与する人を探すなど、さまざまな人の手を借りないと解決しない」とアドバイスしました。
北海道・東北地協は1990年代まで、岩手の研修医をささえる「盛岡フォーラム」を開催。当時の研修医が、今回のフォーラムを主催した浮田昭彦医師(岩手・さわやかクリニック院長)です。
ほぼ15年ぶりの開催に「フォーラムは、症例を持ち寄ることで研修の到達を相対化できます。原発事故の被災地でがんばる研修医を励ましたかった」と浮田医師。
国井さんは総合内科病棟で研修中。患者5人を担当しながら画像読影のレクチャーを受けたり、CTの練習にとりくんでいます。「毎日が新鮮。病院全体で研 修医を育てようという雰囲気を感じます。将来は被災地の未来を担う子どもたちのために、小児科医になりたい」と言います。
原発事故の影響で医師や看護師が退職するなど、体制が厳しいわたり病院。福島の民医連臨床研修病院を維持しようと、全国から支援を受けています。来年は 新たに4人の初期研修医が入職する予定で、同院始まって以来の研修医5人体制と後継者づくりは順調です。
国井さんの指導医の渡部朋幸副院長は「受け入れは大変ですが、嬉しい悲鳴といえます。人が集まる病院になりつつあり、院内に活気が出てきました」と笑顔で語っていました。
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(民医連新聞 第1584号 2014年11月17日)
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