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民医連新聞

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戦後最大の“岐路” いのち守る使命意識し動こう 全日本民医連 第1回評議員会ひらく

 全日本民医連は八月二三~二四日、東京都内で第四一期第一回評議員会を開き、二月の総会以降半年間の情勢認識、各分野での課題や とりくみを確認し、方針と中間決算報告を全員一致で承認しました。評議員八四人(予備含む)と理事など約一二〇人が参加し、活発に討論しました。第四二期 役員選挙管理委員七人を選出しました(別項)。また二三日夜に、東北大学名誉教授の日野秀逸さんの講演「健康で安全な日本を目指して―安倍政権との対抗 軸」がありました。

 藤末衛会長はあいさつの冒頭、広島共立病院の診療圏で起きた土砂災害の犠牲に哀悼の意を表し、職員たちが避難所訪問などの救援に奮闘していると報告しました。
 そして情勢にふれ、小泉政権時代を想起する社会保障抑制策、沖縄の新基地建設、集団的自衛権行使容認や原発輸出など、暴走する安倍政権を幅広い人たちと 共に退陣に追い込もう、と呼びかけ。一〇〇年前に経済学者の河上肇が書いた「貧乏退治は平和につながる」の言葉をひきながら「戦争か平和か、戦後最大の岐 路」という方針案冒頭の記述を意識した議論を求めました。
 岸本啓介事務局長が理事会報告。続けて、谷口路代事務局次長が経営状況に関する報告を行いました(別項)。
 岸本事務局長は、今回の方針案への意見や感想が積極的に寄せられていると紹介。情勢は総会後の半年で大きく動いている、職員から出る疑問は放置せず、学習を柱にすすもう、と訴えました。
 また、一〇月に福島、一一月に沖縄で行われる県知事選挙で、いのちを大切にする県政を実現し、政治の潮目を変えようと呼びかけ。受療権を守る活動では、 無低診実施に向け何度も県と交渉、民医連綱領も語っている長崎の経験や、東神楽町(北海道)が無低診利用者の保険薬局での薬代助成を決め、五つ目の自治体 になったと報告。飛躍をめざす四課題(医師、共同組織、医療構想、職員育成)は「どれか一つ」でなく、総合的視点でとりくもうと強調しました。

73の発言で方針を深める

 二日間の討論で、情勢や職員育成、経営、医師問題など、文書七本を含む七三の発言がありました。
■情勢…沖縄の座波政美評議員が知事選挙の情勢について報告。新基地の県外移設を公約し当選した仲井眞弘多知事が、県民を裏切る中、自民党の翁長(おなが)雄志氏が基地建設反対で立候補の意向を表明。保守革新が入り乱れた新しいたたかいになっていると話しました。
 オスプレイ配備計画が示された佐賀の反対運動、新たな原子力空母の寄港に抵抗する神奈川、秘密保護法反対の集会をかつてない規模で準備中の徳島、戦争す る国を許さない運動も多数。秘密保護法への「協力拒否宣言」の提案も。
 各地で原発の再稼働が狙われる問題では、茨城、鹿児島、福井などの立地県から報告が。また、被災者の現状や支援についても岩手と埼玉、徳島が発言しました。
 大阪市の生活保護行政の実態、生活保護受給者の実態調査(長野)など、生存権にかかわる報告も。栃木の天谷静雄評議員は、無低診を通じ遭遇した複数の手 遅れ死亡事例を紹介し「全日本民医連が毎年行う『手遅れ死亡事例』の集約は、実態より少ないのでは。全県から報告を」と呼びかけました。
 また藤末会長が憲法闘争の強化について特別発言しました。
■経営・医療構想…高知の今井好一評議員が、全日本民医連の高知の経営対策委員会の終了を報告。
 地域包括ケア時代に向け、地域分析し中長期戦略を立てている発言が長野、東京、宮城などから。千葉の岡田朝志評議員は「病床転換にあたり近隣の急性期病 院を訪問し、自院に寄せられる評価や期待を改めて知った」と語りました。
 七対一病床の削減方針が、末期の患者を難民化させ、看護労働にも影響を与えている、と発言したのは北海道の加地尋美評議員。
 岡山の井場哲也評議員は、特養入居者の要件を重度に絞る制度見直しが、高齢者の人権も介護職員の健康も侵害する改悪だと指摘。
 経営や中長期計画を、生存権やまちづくりからとらえ、悩みながらも奮闘する報告が続きました。
■医師養成と確保…「医学生対策を担当する職員の育成を重 視」(大阪)、「医師が前面に出て語り、複数の奨学生が生まれている」(広島)など医学生への働きかけの話題。医師研修では「地協の連携で医師研修を維 持」(長崎)、「震災後、オール民医連で福島の医師研修の支援を受け、来年四人が初期研修を決意」(福島)などの報告がありました。
《発言など詳細な報告は次号》

2013年度および14年度第一四半期の経営状況

【谷口次長の報告】
 二〇一三年度と今年第一四半期の経営状況が報告されました。診療報酬が連続四回マイナス改定だった小泉政権時代とほぼ同水準で落ち込んでいます。のべ患 者数は入院・外来とも減少。新規入院も減少しています。
 なお、日本病院会の調査でも七割の病院が赤字です。厚労省の医療費動向でも、入院・外来が減り、受診抑制が広がっていることがうかがわれます。

 この「未曾有の事態」を打開し、地域になくてはならない存在として経営を守りぬくために、次の七つの提起がされました。
 (1)中長期の戦略に基づく経営計画の確立(2)徹底した経営分析を組織的・集団的に行う地域分析(3)資金繰り困難な法人が拡大。自らの法人の再点検 と、県連的点検・対策の強化(4)資金管理、経営管理を強める(5)大型設備投資において厳密な資金計画の作成(5)民医連経営を守り抜く上での「たたか い」(7)地協・県連経営委員会の強化
 そして直ちに行動に移すこととして(1)地域の医療機関への訪問活動(2)一〇月から始まる病床機能報告制度を前に県連や地協での検討・討議(3)新基 金(医療提供体制改革のための新たな財政支援制度)の動向の把握と活用、の三点が提起されました。

 

第42期役員選挙管理委員

山形・中島崇博
埼玉・高橋正己
神奈川・大間知哲也
愛知・久保田武
兵庫・清水則夫
徳島・山本浩史
福岡・入江敬一

(民医連新聞 第1579号 2014年9月1日)