私のお仕事 薬剤師
多彩な職種が働く民医連事業所。それぞれが専門性ややりがいを語る連載。16回目は薬剤師です。
医薬品を安全に使うための“プロ”
薬剤師の仕事を一言で表現すると、医薬品を安全に使うためのプロフェッショナルです。たと えば抗がん剤は他の薬剤と比べ、副作用発現頻度が高く、副作用と上手く付き合いながら治療しなければなりません。そのため、副作用をコントロールすること がとても重要です。薬剤師は副作用を予防するための処方設計や、副作用が発現した場合の対応を検討し、治療における患者さんの苦痛を最小限に和らげること に努めています。
抗がん剤治療は複雑です。スケジュールや用量設定、注射剤なら点滴速度などが特有なため、投与管理もしっかり行う必要があります。そのために院内で統一 したレジメン(抗がん剤治療に関わる時系列的な治療計画)の作成に関わり、管理します。さらに、抗がん剤の多くは細胞毒性も強く、取り扱いにも厳重な注意 が必要です。注射抗がん剤の調整は、ガウン、特殊手袋、マスク、ゴーグルを着け、安全キャビネット内で行っています(右)。がん治療は職能を最大限発揮で き、また発揮せねばならない分野です。
「楽になった」の言葉で疲れが飛ぶ
患者さんとの関わりで、一番嬉しいのは、提案した処方で副作用や治療の苦痛が和らいだ時で す。「この薬を出してもらってから楽になったわ」と言われた日には疲れも一気に吹っ飛びます。また、抗がん剤は高価なため、治療費の心配をされる人もいま す。その場合は高額医療費制度の説明をし、医療福祉相談室と連携をとっています。患者さんには、がんであることの苦しみ、命に対する不安を切々と訴える人 もいて、そんな時はじっくり話を聞き、しっかり共感するよう努めています。
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4月から、がん薬物療法認定・専門薬剤師が患者さんに副作用の発現頻度や発現時期、生活上 の注意点、要注意な症状などを文書で説明した場合、点数の加算ができるようになりました。当院では、以前からとりくんでいたことだったため、「自分たちが 行っていたことがやっと認められた」という感じです。今後も、安全で患者さんに寄り添った治療に貢献していきたいと思います。(大阪・耳原総合病院 がん 認定薬剤師 松本ミユキ)
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(民医連新聞 第1579号 2014年9月1日)