だから安保はいらない (10)疑問に答えて(1) 朝鮮半島や中国との関係は
連載に対して「北朝鮮や中国との関係が悪化している。米軍とともに危機に対抗するためにも、安保条約は必要ではないか」との質問がありました。今回はこの問題について考えてみます。
たしかに、核開発や無謀なミサイル発射を繰り返す北朝鮮は問題です。しかし、米国との軍事同盟に頼って日本が軍事対応を強化すれば、事態はいっそう深刻 になります。問題を解決するには、日本人拉致事件などを話し合う日朝協議をすすめるとともに、北朝鮮の核開発を防ぐ六カ国協議の再開など、外交的な努力を 重ねる以外にありません。
また尖閣諸島を巡って、中国との関係が緊張しています。原因は中国側にもありますが、日本の対応も問題です。安倍内閣は「中国との間に領土問題は存在し ない」との立場で、話し合いを拒否しています。そのうえ、侵略戦争の歴史観や従軍慰安婦問題で対話の道を閉ざし、対立に拍車をかけています。集団的自衛権 行使容認の閣議決定がさらに中国側の反発を招いています。
北朝鮮や中国について、米国はどのように考えているのでしょうか。米国議会で「中国は脅威か」と問われた国務省高官は、「中国の軍事力増強は不透明で、 改善が必要」と述べるとともに、「競争と協力関係を維持する」と答弁しています。
四月に行われた日米首脳会談で、「中国が尖閣に上陸したら米軍は撃退するか」との記者の質問に対し、オバマ大統領は「対話を通じて平和解決をめざすべ き」と述べ、日中の紛争に巻き込まれることに警戒感を示しています。このように、米国の姿勢と安倍内閣の間には温度差があります。
米軍は日本を守っていない
歴代の自民党政府は、「日本の安全は安保条約によって守られているのだから、米軍基地があっても仕方がない」と説明してきました。米軍は本当に日本を守ってくれるのでしょうか?
マツギー在日米軍司令官(当時)は一九七〇年、連邦議会で「日本に駐留する米国軍隊は、第一義的に日本本土の直接的防衛のためにそこにいるのではない」 と証言しました。また、ワインバーガー米国防長官も、八三年の連邦議会で「沖縄に駐留する米海兵隊は日本防衛を割り当てられていない」と話しています。
米軍基地は日本を守るためではなく、米国が世界に覇権を及ぼし、戦争に出撃するために置かれているのです。一九六〇年代のベトナム戦争、九一年の湾岸戦 争、二〇〇一年のアフガニスタン戦争、〇三年のイラク戦争など、日本の米軍基地は米国の戦争の最前線基地として使われてきました。
(安保破棄中央実行委員会)
(民医連新聞 第1578号 2014年8月18日)