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民医連新聞

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相談室日誌 連載373 《侵食される生存権》突然の廃止「改正」保護法の影 服部啓吾(香川)

 先日、患者さんから「二〇歳の娘の生活保護が突然廃止になって困っている」と相談がありました。娘さんは定時制高校の四年生です。
 もちろん定時制高校に通学していることは福祉事務所の担当ケースワーカーに報告しています。これまで福祉事務所からは就労指導などの指導もなかったとい います。それが突然、「二〇歳になったので生活保護を廃止する」と通知されたというのです。
 いくらなんでも突然廃止はしないだろう、と思いつつ福祉事務所に連絡しました。すると、「二〇歳になったから廃止した」というのです。就労などの指導 も、廃止にあたっての面接もされていませんでした。驚きをかくせず「定時制高校通学中で卒業年だと知っていたにもかかわらず、なぜ突然廃止したのか?」 「何のケースワークもせず、年齢だけで廃止にする根拠は何か?」とたずねると「上司に相談します」との返答。一週間ほどして「今回の廃止決定は無かったこ とにする」と、連絡が入りました。
 子どもが通学しているとわかっていたにもかかわらず、二〇歳になったことを理由に、文書一つで廃止しようとした事例でした。「もしこの世帯に相談する先 が無かったら…。高校は続けられないと、自主退学していたかもしれない…」。起きたかもしれないことを考えれば、単に「ワーカーの知識不足」では片付けら れない問題です。国がすすめている自立支援の視点からみてもおかしいことは明らかです。
 そしてこの事例があったころから、生活保護に関わるおかしな決定が続くように。入院患者の生活保護開始日が、申請意思を伝えた入院日ではなく、担当ワー カーが面接に来た日に決定されるという事例もありました。「面接時に当事者が、入院日から保護してほしいと伝えなかったから」という驚きの理由でした。
 「生活保護法を『改正』しても、運用は全く変わらない」というのが政府の国会での説明でした。しかしここ最近、おかしくなった運用に「改正」の影響では ないかと考えずにおれません。あらためてSWも感度を高め、ケースにあたらなければ、と思っています。

(民医連新聞 第1575号 2014年7月7日)